２月３日金曜夜10時、第142回のゲストは、国際政治アナリストの藤井厳喜さんです。
トランプ氏が大統領に就任し、メディアとの戦いが激化しています。
トランプ大統領の側近、スティーブン・バノン氏が、ニューヨーク・タイムズのインタビューで、トランプ氏について批判的な報道を続ける米主要メディアを「抵抗勢力だ」「黙っていろ」と批判。スティーブン・バノン氏は、大統領の首席戦略官兼上級顧問です。
大統領選挙期間中もトランプ氏に対して公平とは言いがたい報道を繰り広げてきた米メディアですが、彼らは大統領選のゆくえも見誤りました。
トランプ氏の就任前の1月11日の記者会見では、CNNテレビの記者とのバトルもありました。CNN記者の質問にトランプ氏は「答えない」とし、それがまた大々的に報じられたのです。
なぜトランプ氏はCNNの質問に答えなかったのか。
CNNは会見前日に、米情報当局高官らがトランプ氏やオバマ大統領に文書を提出し、ロシアがトランプ氏にとって不名誉な情報を収集している可能性があると警告を行ったと報道したのです。しかし、この「不名誉な情報」の全文は、ニューヨークを本拠にし、娯楽ニュースなどをメインに急成長したバイラルメディア「BuzzFeed（バズフィード）」が流した、未確認の真偽不明なものでした。
その後、CNNは「CNNは文書の具体的な内容については報道を差し控えていた。ネットメディアの米バズフィードは未確認のまま内容を公開している」とし、ロシアのプーチン大統領が「トランプ氏の秘密情報収集」疑惑を否定しているとも報じています。
CNNが報じていないとしながらもすでに出回っていた「トランプ氏の秘密情報」とは、トランプ氏が２０１３年、ミス・ユニバース大会の主催者としてモスクワを訪れた際、同市内のリッツ・カールトンのシートルームに複数の売春婦を呼び、ベッドで放尿ショーをさせ、それをKGBに盗撮され、ビデオ映像をロシアが持っている、というもの。
いったい何が真実なのか。また、米メディアはトランプ大統領を冷静な視点で分析、報じていると言えるのか。
トランプ大統領とメディアの戦いについて藤井さんにお伺いします。

藤井厳喜
国際政治アナリスト

1952年東京生まれ。早大政治経済学部卒業。米クレアモント大大学院を経てハーバード大大学院で政治学博士課程を修了。現在は「ケンブリッジ・フォーキャスト・グループ」代表取締役。近著に『最強兵器としての地政学』（ハート出版）。

※ プロフィールは放送日2017.02.03時点の情報です