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Vol.152 一般公開

戦後70年「日本の品格」を評価する

武士道精神は弱者への共感、涙など惻隠の情

2015.09.18 59分

 1945年8月15日の戦争終結から、2015年で戦後70年の節目を迎えました。この70年を私たちはどのように評価し、これからの時代をどのように生きて行けばよいのでしょうか。数学者、作家であり、265万部のミリオンセラーとなった『国家の品格』の著者でもある藤原正彦氏の眼には、戦後70年の日本はどのように映るのでしょうか。
 櫻井キャスターは「日本の歩みを見て、国、民族としての品格はどうなったのか」と尋ねると、藤原氏は「かろうじてまだ品格を保っている」と答えました。しかし、「かなり落ちている部分もある。国家の品格の第一は独立自尊。日本は防衛を米国に頼っている半独立国で、品格を保てないひとつの原因だ」と評価しました。
 藤原氏は日本の精神性を「論理」や「合理性」頼みではなく、論理より「情緒」、英語より「国語」、民主主義より「武士道精神」であると言います。櫻井キャスターは「私たちは日本風な複雑な価値観の中にいるが、それでも日本は21世紀の世界をリードする価値観を提示できると思う」と述べたのに対し、藤原氏は「日本人の道徳の素晴らしさやもののあわれ、武士道精神の中核で弱者への同情、共感、涙など惻隠の情、卑怯を憎む心を世界に訴えていけば、日本の発言権は大きくなり、世界に影響を及ぼしてくる」と語りました。
 対談はこの後、日本は中国、韓国と品格を持って付き合ってきたのか、日本の教育問題の在り方などを論じ、話題はあらゆる分野に縦横無尽に飛び交いました。藤原氏のユーモアには、櫻井キャスターもユーモアで応じ、楽しくも為になる奥行きの深い対談となりました。

≪動画インデックス≫
 1.戦後70年「日本の品格」を評価する
 2.安倍首相の戦後70年談話を評価する
 3.世界は繰り返し戦争をやってきたが、反省文を出した国なぞどこもない
 4.英国はアヘン戦争を責められても「It`s long time ago」でお終い
 5.安倍70年談話の下敷きとなった「15年戦争=東京戦争史観」が不満
 6.日本はそれを目的に戦争した訳ではないが、アジアを解放する歴史的業績を残した
 7.日米で70年間怠っている歴史認識のすり合せをすべきだ
 8.BBCワールドの事実誤認番組が世界の「常識」になる危険
 9.「慰安婦」も「靖国」も「徴用工」も、十分な根拠がないまま日本側が世界に言い出した
10.歴史学会では東京裁判史観に反対する論文は掲載されない
11.弱者への同情、共感など「惻隠の情」が武士道精神の中核
12.福島原発に向う消防隊長に奥さんが「日本の救世主になって下さい」に感動
13.数学で論理的思考をするにも、まず国語が重要だ
14.「地方大学と本屋さん」は日本の知の拠点
15.武士道精神=騎士道精神=ジェントルマンシップ

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藤原正彦

藤原正彦
数学者・作家

1943年旧満州新京生れ。作家新田次郎と作家藤原ていの次男。東京大学理学部数学科大学院修士課程修了。理学博士。コロラド大学助教授を経てお茶の水女子大学教授。現在、同大学名誉教授。1978年、数学者の視点から眺めた清新な留学記『若き数学者のアメリカ』で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞、著書にベストセラーとなった『国家の品格』や『日本人の誇り』、『名著講義』(文藝春秋読者賞受賞)、『孤愁 サウダーデ』(新田次郎との共著、ロドリゲス通事賞受賞)、『父の威厳 数学者の意地』『日本人の矜持』『人生に関する72章』『管見妄語』シリーズなど多数。

※ プロフィールは放送日2015.09.18時点の情報です

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