1945年8月15日の戦争終結から、2015年で戦後70年の節目を迎えました。この70年を私たちはどのように評価し、これからの時代をどのように生きて行けばよいのでしょうか。数学者、作家であり、265万部のミリオンセラーとなった『国家の品格』の著者でもある藤原正彦氏の眼には、戦後70年の日本はどのように映るのでしょうか。
櫻井キャスターは「日本の歩みを見て、国、民族としての品格はどうなったのか」と尋ねると、藤原氏は「かろうじてまだ品格を保っている」と答えました。しかし、「かなり落ちている部分もある。国家の品格の第一は独立自尊。日本は防衛を米国に頼っている半独立国で、品格を保てないひとつの原因だ」と評価しました。
藤原氏は日本の精神性を「論理」や「合理性」頼みではなく、論理より「情緒」、英語より「国語」、民主主義より「武士道精神」であると言います。櫻井キャスターは「私たちは日本風な複雑な価値観の中にいるが、それでも日本は21世紀の世界をリードする価値観を提示できると思う」と述べたのに対し、藤原氏は「日本人の道徳の素晴らしさやもののあわれ、武士道精神の中核で弱者への同情、共感、涙など惻隠の情、卑怯を憎む心を世界に訴えていけば、日本の発言権は大きくなり、世界に影響を及ぼしてくる」と語りました。
対談はこの後、日本は中国、韓国と品格を持って付き合ってきたのか、日本の教育問題の在り方などを論じ、話題はあらゆる分野に縦横無尽に飛び交いました。藤原氏のユーモアには、櫻井キャスターもユーモアで応じ、楽しくも為になる奥行きの深い対談となりました。
≪動画インデックス≫
1.戦後70年「日本の品格」を評価する
2.安倍首相の戦後70年談話を評価する
3.世界は繰り返し戦争をやってきたが、反省文を出した国なぞどこもない
4.英国はアヘン戦争を責められても「It`s long time ago」でお終い
5.安倍70年談話の下敷きとなった「15年戦争=東京戦争史観」が不満
6.日本はそれを目的に戦争した訳ではないが、アジアを解放する歴史的業績を残した
7.日米で70年間怠っている歴史認識のすり合せをすべきだ
8.BBCワールドの事実誤認番組が世界の「常識」になる危険
9.「慰安婦」も「靖国」も「徴用工」も、十分な根拠がないまま日本側が世界に言い出した
10.歴史学会では東京裁判史観に反対する論文は掲載されない
11.弱者への同情、共感など「惻隠の情」が武士道精神の中核
12.福島原発に向う消防隊長に奥さんが「日本の救世主になって下さい」に感動
13.数学で論理的思考をするにも、まず国語が重要だ
14.「地方大学と本屋さん」は日本の知の拠点
15.武士道精神=騎士道精神=ジェントルマンシップ
※Edgeブラウザではスキップ機能を利用できない場合がございます。Chrome/Firefox/Safariブラウザではスキップが可能です。
※プロバイダや使用場所によっては再生が途切れる場合がございます。動画が停止した場合、ブラウザの更新ボタンを押してください。
藤原正彦
数学者・作家
1943年旧満州新京生れ。作家新田次郎と作家藤原ていの次男。東京大学理学部数学科大学院修士課程修了。理学博士。コロラド大学助教授を経てお茶の水女子大学教授。現在、同大学名誉教授。1978年、数学者の視点から眺めた清新な留学記『若き数学者のアメリカ』で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞、著書にベストセラーとなった『国家の品格』や『日本人の誇り』、『名著講義』(文藝春秋読者賞受賞)、『孤愁 サウダーデ』(新田次郎との共著、ロドリゲス通事賞受賞)、『父の威厳 数学者の意地』『日本人の矜持』『人生に関する72章』『管見妄語』シリーズなど多数。
※ プロフィールは放送日2015.09.18時点の情報です