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Vol.171 一般公開

原子力規制委が妨げる最先端ガン治療

数十人の命を助けた治療が1年半以上も停止

2016.01.29 56分

 世界の注目を集める京大原子炉実験所の「中性子を使った基礎研究」と、「加速器駆動未臨界システム研究」が完全にストップしています。止めているのは、福島第一原発の事故を受け、新たに原発の安全規制を図る原子力規制委員会です。この結果、中性子を活用するBNCT(ホウ素中性子補足療法)という年間数十人規模の命を助けてきた治療が1年半以上、停止され続けています。
 現場をあずかる京大の宇根崎博信教授は「原子炉実験所の小型原子炉にも福島原発事故以降の発電用原子炉の新基準で安全審査が適用され、それを満たすための安全審査書の作成をもう1年以上、2年近く行っている」と実情を話します。櫻井キャスターは「規制委の不適切な規制で失われている命がある。どう見ても規制委は川内原発の安全審査で40万ページの資料を出させるなど不合理と行き過ぎがある」と指摘しています。櫻井キャスターは「国際原子力委(IAEA)が行った報告には、原子力規制委の改善すべき点として能力、経験を備えた人材を集め、効率的な調査、検査するべきだ」と指摘していることを明らかにしました。今の規制委のメンバーにどんな経験が必要なのでしょうか。宇根崎教授も「発電用原子炉と研究用原子炉は設計が異なり、コンセプトも違う。そういう点も理解しなければいけない」と語りました。どうすれば、問題を解決できるのでしょうか。櫻井キャスターも宇根崎教授も「規制当局と事業者のコミュニケーションが必要だ」という考え方を入り口に、解決のための方向を探り合う熱のこもった対談を行いました。

≪動画インデックス≫
 1.京大原子炉実験所のガン治療が停止している理由
 2.ガン治療BNCTは断トツの世界トップ治療だ
 3.京大原子炉実験所の幅広い研究分野とは
 4.京大原子炉実験所は中国、韓国、スウェーデンなどの学生を受け入れている
 5.原子炉が使えない約2年に停滞してしまった様々な事柄
 6.原子炉実験所が誇る世界唯一の原子炉+加速器システムの威力
 7.原子力規制委の考え方と手法は正しいのか
 8.IAEAが指摘した原子力規制委の改善すべき点とは
 9.日本と世界各国の原子力規制はどう違う?
10.医療・研究用原子炉と発電用原発の基準が同じで良いのか
11.今年夏を目指す停止解除への最後の障壁をどう超えるのか?

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宇根崎博信

宇根崎博信
京都大学原子炉実験所教授

1962年生まれ。1985年大阪大学工学部原子力工学科卒、2001年エネルギー科学博士(京都大学)、1989年京都大学原子炉実験所助手、助教授。1996年に仏・CEAカダラッシュ研究所に留学。2009年京都大学原子炉実験所の教授就任。専攻は原子炉物理、原子力教育。 

※ プロフィールは放送日2016.01.29時点の情報です

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