世界が固唾を飲んで見守ったイギリスの国民投票は、EUへの不満や怒りが「離脱」へと流れ予想外の結果となりました。開票速報で一喜一憂する東京証券取引所は、為替も株式も乱高下し、円は一時1ドル=99円まで急騰、株終値は前日比で1,286円も急落しました。英国ショックがまだ治まらない中で生放送された今夜の対談には、大和総研チーフエコノミストの熊谷亮丸さんが登場しました。
対談の冒頭で櫻井キャスターは「大袈裟に聞こえるかもしれないが、EU離脱は大英帝国の終焉になると感じた」と感想と述べると、熊谷氏は「高齢者や低学歴など労働者階級が移民は嫌いというポピュリズム的な形で離脱を選んでしまった。大きな歴史の転換点になると思う。EUの他の国が離脱の連鎖を起こす可能性があり、EUがバラバラになってしまう可能性がある」と指摘しました。
対談の後半で櫻井キャスターは「EU離脱がアベノミクスにどのような影響を及ぼすのか」と尋ねると、熊谷氏は「イギリスに対して日本ができることは限られているので、自分の宿題を粛々とやるべきだ。アベノミクスの課題は ①社会保障制度の改革 ②構造改革、特にサービス業の労働生産性を高める ③家計の所得の改善をしっかりやることだ。構造改革が特に遅れているので前倒しをして急ぐ必要がある」と答えました。櫻井キャスターは「日本はこの流れに引き摺りこまれないように、日本独自の道筋を切り開く努力をしなければならない」と対談を締めくくりました。
≪動画インデックス≫
1.EU離脱は大英帝国の終焉なのか
2.離脱賛成は高齢者、低学歴、低収入の労働者層でトランプ支持層と同じ
3.EUは独仏の「設計主義」で成立した
4.EUは「キック・ザ・キャン」シナリオで統合を強めた
5.英EU離脱を喜んでいるのはロシアのプーチン大統領
6.すでに米系銀行員はパリへの引っ越しを始めた
7.「移民」と「自己決定権」がEU離脱の理由
8.リスボン条約50条=簡単にはEU離脱ができないシステム
9.EU離脱ショックとリーマンショックの比較
10.EU離脱でアベノミクスは大丈夫なのか
11.これからのアベノミクス3課題とは?
12.サービス業の労働生産性を上げるために適正な値段設定をすべきだ
13.日本は自国第一主義やポピュリズムに陥るべきでない
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熊谷亮丸
大和総研チーフエコノミスト
1966年東京生まれ。1989年東京大学法学部卒業後、日本興業銀行に入行。1993年旧興銀より国内留学で東京大学大学院修士課程修了。メリルリンチ日本証券チーフ債券ストラテジストなどを経て、2007年大和総研シニアエコノミスト、2010年よりチーフエコノミスト。各種アナリストランキングで、エコノミスト、為替アナリストとして合計7回1位を獲得している。「ワールドビジネスサテライト」レギュラーコメンテーターとして活躍中。著書に『消費税が日本を救う』、『パッシング・チャイナ』など多数。
※ プロフィールは放送日2016.06.24時点の情報です