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Vol.202 一般公開

日本が超知能開発で中国を逆転する日

見えてきた「シンギュラリティ」後のカタチ

2016.09.02 60分

 人工知能の能力が人類を超えて、生活を全く変えるというSFのような社会が現実味を帯びてきています。そうした変化は決して遠い未来のことでなく、今から10~20年後に起こるといわれます。全人類の知能を統合したのに匹敵するような超知能ができる時点を「シンギュラリティ」と呼び、それは早ければ2030年頃と言われています。それを成し遂げるスーパーコンピュータ開発競争は激化しています。トップを走るのは運用台数で欧米を凄まじい勢いで抜いた中国です。今年発表された世界スパコンランキング「TOP500」でトップに立った「神威太湖之光」の演算性能は、それまで世界一のスパコン「天河2号」の3倍で、半導体などは中国純正で運用されているそうです。
 現在は中国の後塵を拝する日本ですが、21世紀の勝者を決めるスパコン開発競争で大逆転が起こりそうです。日本には、昨年の世界的なスパコン省エネコンテスト「Green500」で1位と2位を独占した「天才」と呼ばれる開発者がいます。次世代スパコン技術を開発する(株)PEZY Computing代表取締役社長の齊藤元章さんです。
 対談の中で櫻井キャスターが「シンギュラリティを2030年までに確立する意味はなにか」と問うと、齊藤氏は「シンギュラリティに到達すれば、人間が出来ないことを人工的な知能が行い、社会生活も人間自身も全く違う形に変化する。それまでに良い形で準備ができれば人類の新しい未来に持っていける」と答えました。
 齊藤氏は人工的知能開発でトップを爆走する中国は「エネルギー、食糧、軍事と国家安全保障、医療生命科学、公害と天災という5課題を、探索、解析、モデリング、シミュレーションという次世代スパコンの4機能を使って、全て一気に解決できることを明確に理解しており、最短距離で猪突猛進している」と現状を分析しました。それに対し櫻井キャスターは「他国の領土を奪い、国際法を守らず自分の考えを押し付ける中国が、究極の力を持つのは恐ろしい気がする」と覇権国家中国の目指す方向を批判すると、齊藤氏は「日本には優秀で、勤勉で、素晴らしい人材が研究機関、大学、民間企業、官僚の中に埋もれている。中国に勝つためには2018年末までに次世代のスパコン、1ExaFLOPSをまず稼働させ、100倍、1000倍も高速な人工知能エンジンを稼働させないといけない、我々はできると確信している」と力強く語りました。

≪動画インデックス≫
 1.「Green500」のトップ25のうち中国スパコンが21台
 2.「シンギュラリティ」は2045年より早まり2030年ごろに訪れる
 3.5~10年後の「プレ・シンギュラリティ」で驚くべき社会変革が起こる
 4.原発、火力発電所、水力発電所は不要で エネルギーはタダの時代
 5.稲作は植物工場で24期作が可能になる
 6.「プレ・シンギュラリティ」では人間は生活のための労働から解放される
 7.核兵器は持っていても意味がなくなり、持っていることがリスクになる
 8.2016年に中国の運用するスパコン台数が米国を抜き世界一位
 9.中国は仮設の立案を人工的知能に、仮設の検証をスパコンにさせる方針
10.人工知能開発競争では米国はいま思考停止状態
11.米国など血税を使ったスパコンは使いやすさに重点、中国は特定の人が使うだけ
12.齊藤グループのスパコン開発会社は少人数のスカンクワークス
13.東日本大震災の年に復興の手伝いをしたいと米国から日本に戻った
14.日本は2018年末までに次世代スパコンを稼働させ中国を逆転する

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齊藤 元章

齊藤 元章
(株)PEZY Computing代表取締役社長

1968年新潟県長岡市生まれ。新潟大学医学部卒業後、東京大学付属病院放射線科医局に入局。米シリコンバレーで医療系システム開発ベンチャーを創業し、2003年に日本人初のComputer World Honors(米国コンピュータ業界栄誉賞)を医療部門で受賞した。東日本震災を機に、海外での研究開発と事業経験を日本の復興に活かすために拠点を日本に戻した。研究開発系ベンチャー企業10社を創業し、累計売上額は1,000億円を超える自ら発明して出願した特許は70件を数える。現在は、次世代スーパーコンピュータ技術を開発する株式会社PEZY Computing代表取締役社長。京速計算機「京」の100倍の性能となる次世代スーパーコンピュータ開発に加えて、人類史上最大の研究開発となる汎用人工知能の実現を向けて、特命開発チーム複数を組成して率いる。

※ プロフィールは放送日2016.09.02時点の情報です

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