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Vol.265 一般公開

米中首脳会談で見えたトランプの限界

習近平と中国に仕切られる世界が来るのか?

2017.11.17 58分

 米中首脳会談後の会見では、両首脳共に朝鮮半島の非核化に力を尽くすと語りましたが、具体的な方法は一切触れずじまいでした。どうやら北朝鮮への対処をめぐり両国の溝は埋まらなかったようです。その一方で、チャイナマネー28兆円を超える巨額商談はまとまり、トランプ大統領は28兆円に目が眩んでしまったようです。
 櫻井キャスターは「アメリカは価値観を大事にする国だが、伝統的な役割をオバマさんがどんどん捨てて、トランプさんで決定的に捨てた。APECでのトランプ・スピーチを読んだが、世界の大国の指導者として理想を語る言葉がない」とトランプ大統領の資質を批判しました。外交評論家の田久保忠衛氏は「アメリカの普遍的価値観は、経済がグローバリゼーション、政治は民主主義だが、今はトランプがパリ協定から脱退し、習近平がグローバリゼーションを語るなど価値観が混沌として来ている。これからは世界が2つに割れ、アメリカの価値観を大事にするグループとそうでないグループの2つに分かれる」と述べ、世界は価値観の闘いの時代に突入すると予測しました。
 櫻井キャスターは「中国の『一帯一路』に対抗する概念として、こちら側の『インド太平洋構想』があるが、この中身をどう思うか」と問うと、田久保氏は「この構想は経済を中心にしているのか、軍事なのか、政治なのか内容がはっきりしない。米豪印の中で日本だけが国軍を持たない。憲法改正もしておらず、日本がよく主導できるなと思う」と軍隊を持たない日本の現状を手厳しく批判しました。
 対談の最後で、安政の大獄で処刑され西郷隆盛を悲しませた26歳の有能な思想家、橋本佐内に櫻井キャスターと田久保氏は心を寄せます。強国に挟まれた日本に第二の橋本佐内が登場するかどうか、動画でお楽しみください。

≪対談で語られた論点≫
 1.米中関係が百年に一度の変化に直面
 2.超大国(アメリカ)はこうして自殺をした
 3.仕掛け人はヘンリー・キッシンジャー
 4.キッシンジャー・スピーチ≒習近平演説
 5.トランプは28兆円に目が眩んだ
 6.「一帯一路」は中国世界戦略の柱
 7.世界は「価値観の戦い」の時代に突入
 8.安倍首相の「インド太平洋戦略」は内容が漠然としている
 9.強大な力に取り囲まれれば“第二の橋本佐内”が必ず現れる

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田久保忠衛

田久保忠衛
外交評論家,国家基本問題研究所副理事長

1933年千葉県生まれ。早稲田大学法学部卒、時事通信社外信部長、編集局次長を経て、杏林大学社会科学部教授。アメリカ外交、国際関係論が専門、1996年第12回正論大賞受賞。現在、公益財団法人「国家基本問題研究所」副理事長、杏林大学名誉教授。著書に『ニクソンと対中国外交』、『激動する国際情勢と日本』、『新しい日米同盟―親米ナショナリズムへの戦略』、『早わかり・日本の領土問題-諸外国と何をモメているのか』など多数。

※ プロフィールは放送日2017.11.17時点の情報です

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