「知の大人」2人の対談は、キャンディーズと厄介な隣国、朝鮮半島と脱亜入欧、朝日新聞の右から左への大転向、アマゾンの横暴、大数学者岡潔先生の情緒教育、多変数解析関数論、武士道と漢籍の教養、世界大学ランキングの陰謀などまさに日本と世界の森羅万象をユーモアとウイットを交えながら語り合いました。
藤原さんが最も力をいれたのは尊敬する数学者岡潔先生の「情緒」についての考え方と実践でした。藤原さんは岡先生が偉大な研究成果を実現する前に、芭蕉一門の俳句を1年余りも自分の中で味わい、膨らませて、醸成してその情緒を可能性に結び付けたことを紹介し、「日本人が発見をするには情緒が必要で、感動を伴った情緒教育が重要だ」と力説しました。また、藤原氏は「小学校で英語やパソコンを教えようとしているが、小学時代には本に手を伸ばす子供を育てることこそ飛びぬけて重要だ」と述べ、小学校教育はまず母国語で考える能力を養うことに尽きると指摘しました。
対談の後半で櫻井キャスターは「日本の国立大学は法人化したが、短い間に一定の成果を出さないと科学研究費をもらえない仕組みになっている」と現在の大学改革の仕組みを批判しました。藤原氏は「役に立つ研究にしかお金が出ないのは大きな失敗。10年後に花が咲くかもしれない研究、開発にお金が出なければ、20年後にはノーベル賞学者は日本から出なくなる」と応じました。お二人の対談は、情報が氾濫し、拙速に成果を急ぐ時代の本質を見抜く「透徹した眼力」と「優れた大局観」を感じさせる素晴らしい内容となりました。是非、動画でご覧いただきたいと思います。
≪対談で語られた論点≫
1.尖閣周辺、中国潜水艦が軍艦を伴い接続水域を潜航の意図
2.快活で割合下品なアメリカ人と中国人はよく似ている
3.幕末~明治の国防力は庶民の知的レベルの高さだった
4.本を読まなくなったことが知的衰退の原因
5.先進国では「有り余る自由を規制」する時代に入った
6.大数学者岡潔は「日本人が発見するには情緒が必要だ」
7.小学時代には本に手を伸ばす子供に育てる
8.世界大学ランキングは米英の陰謀
9.10年後の花が咲くかもしれない研究にお金を出す
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藤原正彦
数学者・作家
1943年旧満州新京生れ。作家新田次郎と作家藤原ていの次男。東京大学理学部数学科大学院修士課程修了。理学博士。コロラド大学助教授を経てお茶の水女子大学教授。現在、同大学名誉教授。1978年、数学者の視点から眺めた清新な留学記『若き数学者のアメリカ』で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞、著書にベストセラーとなった『国家の品格』や『日本人の誇り』、『名著講義』(文藝春秋読者賞受賞)、『孤愁 サウダーデ』(新田次郎との共著、ロドリゲス通事賞受賞)、『父の威厳 数学者の意地』『日本人の矜持』『人生に関する72章』『管見妄語』シリーズなど多数。
※ プロフィールは放送日2018.01.12時点の情報です