- 2019.02.09
- 一般公開
脆くも崩れ去りかねない日露外交 河井発言は軽率のそしりを免れない
『週刊ダイヤモンド』 2019年2月9日号新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1266 この一言で元々脆い日露交渉が積木崩しのようになっていくかもしれない。そう感じたのが自民党総裁外交特別補佐、河井克行氏の発言だ。氏は1月8日、米ワシントンの政策研究機関で「中国に対抗するため」日露平和条約が必要で、同条約締結に米国の理解を求める旨、語ったという。安倍晋三首相は、米国の対中包囲とでもいうべき厳しい外交の前で、日中関係の改善を目指している。従って安倍氏の外交戦略目標が河井氏の言う中国封じ込めにあるかどうかはわからない。仮にそうだとしても、戦略とは黙って遂行するのが常道だろう。世界の政治の中心地で、安倍氏の特別補佐が講演すれば、発言は首相の考えを示すものとして瞬時に世界を駆け巡る。ロシアと中国の怒りは如何程か。河井発言は軽率のそしりを免れない。...