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闘うコラム大全集

2016.12.10号
天皇の譲位問題は時間をかけた議論が重要 それ以前に必要な秋篠宮家への手厚い支え

『週刊ダイヤモンド』 2016年12月10日号

新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1161


天皇の譲位を認めるべきか否かについての専門家16人からの意見聴取が11月30日に終わった。意見は大きく3つに分かれている。(1)譲位を恒久的制度とする、(2)譲位を認めつつも、今回限りの特別措置とする、(3)譲位ではなく摂政を置く、である。

 

私は専門家の1人として、天皇陛下のお気持ちに沿うべく、最大限の配慮をすると同時に、そうした配慮と国の制度の問題は別であることを認識して、(3)を主張した。皇室と日本国の永続的安定のためにもそれが良いと考えた。

 

一方で、日本国民の圧倒的多数は陛下の「お言葉」を受けて、譲位を認めるべきという意見である。

 

こうした中、陛下にごく近い長年の友人である明石元紹(もとつぐ)氏(82歳)が、陛下が譲位を「将来も可能に」してほしいと、以前より話されていたと、「産経新聞」に語った。同紙は12月1日の紙面で、明石発言を1面トップで報じた。さらに、11月30日に51歳のお誕生日を迎えられた秋篠宮さまも陛下の「お言葉」について、初めて公式に感想を述べられた。


「お言葉」を通して、「長い間考えてこられたことをきちんとした形で示すことができた、これは大変良かった」「最大限にご自身の考えを伝えられた」「折々にそういう考えがあるということを伺っておりました」との内容だ。秋篠宮さまご自身、5年前のお誕生日前の会見で、天皇の「定年制」も必要だと語り、注目された。

 

皇室から次々に、譲位に向けた強いお気持ちの表明がなされる中で、私たちに課せられた課題は前述したように陛下のお気持ちを尊重しつつ、国柄を維持する制度の問題を、どう融合させていくかという点であろう。陛下がお気持ちをこれほど強く表明される中で、政府および有識者会議は、歴史と、皇室を軸とする日本の国柄を踏まえ、賢い解決策を出さなければならない。

 

政府の決定いかんにかかわらず、日本国として同時進行でしっかりと策を講じるべきこともある。次の世代の皇室をよりよく守り、支えるには、皇室の現状に多くの課題があることを認識しなければならない。皇位継承の安定はその筆頭だ。1つの方策として指摘されている旧宮家の皇族への復帰案などは、皇室典範の改正が必要であり、議論のための十分な時間が必要だ。

 

そうしたこと以前に、皇室典範や憲法改正を伴わずに今すぐできることもある。その緊急性を示したのが過日の交通事故である。

 

11月20日、秋篠宮妃紀子さまと悠仁さま、ご学友が乗ったワゴン車が中央道で追突事故を起こした。紀子さまらにけがはなく、追突された乗用車の側も無事だったのは、何よりだった。だが、よりによって悠仁さまの乗った車がなぜ事故を起こしたのか。理由は秋篠宮家に対する支えの体制が不十分であることに尽きるだろう。

 

皇位継承権保持者としてただ1人、若い世代の悠仁さまは、皇室にとっても日本にとっても掛け替えのない方だ。その悠仁さまの車になぜ、先導車が就かないのか、交通規制が敷かれないのか。天皇、皇后両陛下や皇太子ご一家のお出掛けでは、白バイが先導し、後方を警備車両が固める。信号は全て青になるよう調整され、高速道路には交通規制がかけられる。交通事故など、起こりようがない状況が整えられる。

 

この当然の対応が、秋篠宮家に対しては一切取られていない。公務でのお出掛けでも、後方に警備車両が一台就くだけだ。理由は秋篠宮家は他の皇族と同じ扱いになるからだという。しかし、陛下の譲位が取り沙汰される中、皇位継承権保持者お二人を擁する秋篠宮家にはもっと手厚い支えをするのが筋である。安定した皇位継承体制をつくる法議論も必要だが、このような目の前の日常の事柄への配慮も欠かしてはならないと思う。



櫻井よしこ


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