安倍内閣の経済戦略=アベノミクスの「3本の矢」は、1.大胆な金融政策 2.機動的な財政政策 3.民間投資を喚起する成長戦略 です。この政策を推進するために甘利経済財政政策担当相の下に全閣僚がメンバーの「日本経済再生本部」を設け、さらにその下に閣僚と民間人からなる「経済財政諮問会議」と「産業競争力会議」を設置しました。「産業競争力会議」には竹中平蔵氏、坂根コマツ会長、三木谷楽天社長、新浪ローソン社長など民間人論客がメンバーになっています。夏までの短期間でどのような成長戦略を作り上げるのでしょうか?すでに既得権益に固執するグループや事なかれ主義の官僚などの抵抗が始まっており、竹中氏ら民間人の論客がどのように闘い、アベノミクスを実現できるかが注目されています。「春のスペシャル対談・第1弾 竹中平蔵VS櫻井よしこ」は、このタイミングで行われました。
冒頭、櫻井キャスターが「産業競争力会議の事務局に民間人を入れて欲しいと言っていたが、どのような理由からか」という質問に竹中氏は「委員がいろんなことを発言し、後はこちらでまとめますという官僚ベースで霞が関文学に満ちた結論になってはいけない」と民間出身のスタッフを事務局に認めさせた理由を語りました。また、「1人3分の発言で会議が終わってしまってはいけないので、分科会に分けて討論することを始めた」と語り、会議の進め方などでいくつかの工夫を行ったことも明らかにしました。さらに、竹中氏は「成長戦略は過去7年間に7回作ったが結果が出ていない。成長戦略は打出の小槌ではない。目標に向かい一生懸命やるしかない」と語る一方で、「今回の成長戦略は今までと次元が違うものでなければ意味がない」と述べ、既得権益グループや官僚ベースでは纏めさせない覚悟も示しました。
対談は、櫻井キャスターの矢継ぎ早の質問に竹中氏が様々な事例を挙げ明確に答える展開になりました。この後、TPP参加が決まった今、農業振興の具体策は何か、世界第2の農産物輸出国オランダのハイテク農業に学ぶものは何か、財界と政治のかかわり、競争力を高めるための教育の在り方、「終身雇用、年功序列」は戦後できた新しい制度で、日本はこれまで状況に合わせ制度を変えてきた柔軟性を備えた国であることなど興味深い議論がなされました。40分に及ぶスペシャル対談は、規制緩和に向けての官邸夏の陣がすでに始まり、これからせめぎ合いはさらに激化することを示唆する内容です。是非ご視聴下さい。
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竹中 平蔵
慶応大教授
1951年和歌山県生まれ。経済学博士。一橋大学経済学部卒業後、日本開発銀行入行し、退職後にハーバード大学客員准教授、慶応義塾大学総合政策学部教授などを務める。2001年小泉内閣の経済財政政策担当大臣就任を皮切りに金融担当大臣、郵政民営化担当大臣、総務大臣などを歴任。2004年参議院議員に当選、2006年参議院議員を辞職し政界を引退。現在、慶応義塾大学総合政策学部教授・グローバルセキュリティ研究所所長。アカデミーヒルズ理事長、株式会社パソナグループ取締役会長などを兼職。著書に『竹中平蔵の特別授業』、『構造改革の真実 竹中平蔵大臣日誌』など多数。
※ プロフィールは放送日2013.03.08時点の情報です