- 2023.03.23
- 一般公開
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問題山積の日韓、それでも改善する訳
『週刊新潮』 2023年3月23日号日本ルネッサンス 第1041回今週、韓国の尹錫悦大統領が来日する。日韓関係を戦後最悪の水準に突き落とした戦時朝鮮人労働者問題の解決策を引っ下げての来日だ。戦時朝鮮人労働者の動員は「反人道的不法行為」であるから、慰謝料を払えと韓国大法院がとんでもない判決を下したのは2018年10月だった。日本側は猛反発し、その後22年5月に発足した尹政権は日本側に新たな謝罪や賠償を求めず、韓国側が支払うとの解決策を提案したうえで日韓関係修復のために来日するわけだ。戦略的に見ると、中国や北朝鮮の核の脅威が日々高まる中で、日米韓の関係緊密化は欠かせない。尹氏の訪日はその点で意味がある。しかし、日韓間には余りにも多くの重要な問題が積み残されている。大戦略として日米韓、また日韓の協力は大事だが、それで日本が、関係修復を望む韓国のペースに巻きこまれて、個別の問題をなおざりにしてよいということにはならない。日韓間に横たわる最大の懸案がレーダー照射問題だ。18年12月に韓国の駆逐艦が自衛隊のP-1哨戒機に、艦砲の照準やミサイルの誘導に使われる火器管制レーダーを照射した。元空将の織田邦男氏は「引き金に指をかけて人のこめかみに銃を突きつけるような行為だ」と語る。レーダー照射は自衛隊機の墜落やパイロットの死につながりかねない明らかな敵対行為だ。...