- 2022.05.19
- 一般公開
日本よ気付け、本当のワルは中国だ
『週刊新潮』 2022年5月19日号日本ルネッサンス 第999回この数週間、つい視線が向かう地図がある。太平洋を挟んで、右に南北米大陸、左にユーラシア大陸があり、核保有国を赤く塗った地図だ。ロシア、中国、北朝鮮を中心にユーラシア大陸は赤く染まり、北米は米国が赤い色に染まっている。そのまん中、太平洋の左端にポツンとわが日本列島が心細げに浮かんでいる。今、世界で一番危険な地域は大西洋・欧州ではなく、太平洋・アジアであり、わが国周辺なのだと実感する。ウクライナへのロシアの侵略戦争で私たちは日々の戦況報告に気をとられ、世界のパワー・バランスの大変化で日本がどれ程危険な立場にあるかに気がつきにくい。ぼんやりしているわが国には断固とした国防への気概も備えもない。考えは甘く、制度は緩い。米国と協力して、国の命運が懸かる対中戦略の具体策を定め、憲法改正を含めて備えるときだが、そこまでの厳しい認識があるとは思えない。これでは中国が狙うのも当然だろう。オースティン米国防長官は4月25日、ロシアが二度とウクライナ侵略戦争のようなことができないように、「ロシアを弱体化させる」と語った。その言葉どおり、米国はロシアを衰退させる意図でウクライナにより深くコミットしつつある。...