- 2023.09.21
- 一般公開
80歳の現役科学者が世界を変える
『週刊新潮』 2023年9月21日号日本ルネッサンス 第1065回ノーベル賞候補にも挙げられている山本尚氏の『80歳・現役科学者感動の履歴書』(産経新聞出版)が面白い。今、氏は、自身が「破壊的イノベーション」と確信する研究に燃えている。岸田文雄首相の好む語彙のひとつが、持続的社会、持続的成長などと使われる「持続的」だ。日本では「破壊的」であることよりは「持続的」が重視されているのは明らかだ。対して山本氏は、世界は「破壊的イノベーションか、さもなくば死か」という時代にあると断言する。氏のとらえ方こそ鋭い。なぜなら現実の世界情勢がまさにそうなっているからだ。世界情勢の在り方は政治は無論、経済、人々の行動、安全保障、科学や学問研究の全てに影響する。ロシアによるウクライナ戦争、中露の暗い連携、ロシアと北朝鮮のならず者連帯。平時から有事へと移ってしまった時代状況に加えて、物事の進化が異次元的に加速している。だからこそ、科学者も研究者もあっと驚く変化を世界にもたらすイノベーションに励まなければならないと、山本氏は言うのだ。...