- 2024.08.22
- 一般公開
株価暴落、財務省・日銀の大失策だ
『週刊新潮』 2024年8月15・22合併号日本ルネッサンス 第1110回ブラックマンデーを超えて東京株式市場で株価が暴落した。8月2日(金曜日)に日経平均株価が2216円下落したのに始まり、5日(月曜日)にはさらに4400円超も下がり、3万2000円を割った。岸田文雄首相は円安懸念を表明してきたが、1ドル=142円台後半まで円が上がったことをどうとらえているのか。市場激変を受けて、私はすぐに、今年1月から政府が鳴り物入りで始めた新NISA(少額投資非課税制度)を利用して投資した人達のことを考えた。運用益(売却益、配当、分配金)が非課税になる、だから貯蓄から投資へ軸足を移しましょうと奨励されてこの半年間で7.5兆円が投資された。金融庁の資料では、3月末時点でNISAの口座数は2322万を超えている。ざっと見て日本人の5人に1人がNISAで投資していることになる。40代が最も多く、50代、30代と続く。20代もかなり多い。若い世代は子育てと教育、中堅は住宅ローンや親の介護など、頑張らなければならない。そうした人達にNISAでの投資を推奨してきた岸田政権は、いま、事実上梯子を外しているのではないか。NHK、朝日新聞、日本経済新聞などは、日本の株価下落は米国の株式市場で主要株価指数が大幅に下落したことが要因だなどと報じた。一連の報道は財務省の解説を鵜呑みにし、日本政府の政策の誤りから目を逸らしている。シンクタンク・国家基本問題研究所(国基研)の企画委員でアベノミクスの生みの親の一人、元内閣官房参与の本田悦朗氏が指摘した。...