高市氏を待ち構える国際社会の荒波
『週刊新潮』 2026年2月19日号日本ルネッサンス 第1183回2月2日、「朝日新聞」が8日の衆議院選挙は自民党圧勝の勢いだと報じた。朝日の選挙予測はその正確さで知られる。選挙戦は残り6日、まだ何が起きるか分からず、高市早苗首相の圧勝が確定したわけでもないが、兆候としてはよいことだ。なぜなら課題山積のわが国は選挙後、圧倒的に国民の信を得た権力基盤のしっかりしている総理大臣でなければやり切れない程、大変な仕事が待っているからだ。1月20日、カナダのカーニー首相がスイスで開催されたダボス会議(世界経済フォーラム)で画期的な演説をした。トランプ米大統領の名前こそ出さなかったが、演説全体がトランプ外交への批判だった。カーニー氏はまず、世界秩序は断絶し、(たとえそれがフィクションであっても)かつて信頼されていた「ルールに基づく国際秩序」という心地よい夢は砕け散ったと断じた。米国が支援してきた国際法や公正な貿易ルール、安定した金融システム、集団安全保障などのグローバル体制はもはや機能せず、大国は経済統合を武器化し、関税を梃子(てこ)とし、金融制度で圧力をかけ、サプライチェーンの脆弱性を利用する。互恵は虚構で、従属を強いるばかりだ。かつての秩序は戻らない。だから、カナダはミドルパワー、中堅国の先頭に立って価値観の一致する国々との連携を分野ごとに進めるとして、各国に自立と連帯を呼びかけた。米国への依存度を下げ、独自の道を切り拓こうと語った氏に異例のスタンディングオベーションが贈られた。トランプ米大統領が演説したのは翌日だった。NATOのルッテ事務総長との会談でグリーンランドへの武力行使を否定し、米国の同島領有に反対する欧州諸国への追加関税も撤回した。世界は一安心したが、これは米国の株、債券、通貨が市場で売られるトリプル安が生じたからだ。...