- 2022.07.14
- 一般公開
印露大接近で変わる世界の秩序
『週刊新潮』 2022年7月14日日本ルネッサンス 第1007回石油、天然ガスの供給を軸に国際関係に大変化が生じ、世界はパワーバランス再構築の時代に突入した。中国がウクライナ侵略戦争の中で親ロシア路線を選んだのはすでに世界的な認識だ。しかし、私たちはユーラシア大陸のもうひとつの大国、インドにも注目しなければならない。中国は親ロシアの立ち位置に一ミリも揺るぎを見せない一方、なるべく目立たないように気遣っている。対照的にインドは誰の目にも明らかな形で親ロシア外交を深めている。安倍晋三元首相の提唱したインド・太平洋構想は米国のアジア戦略の要ともなり、日米豪はインドを含めて中国に対峙する四か国戦略対話、QUADを進めてきた。だがインドの変化はQUADにも深刻な影を落としかねない。インドがロシアにより深く肩入れすることで、エネルギー供給をテコにロシアがアジアに影響力を広げる可能性もある。インドと中国の間には国境を巡って深刻な対立があるが、それを超えて両国の関係が深化すれば、日本は中印露の連携という、より大きな脅威と向き合うことになる。...