- 2022.11.10
- 一般公開
異常な人事が示す習氏のプーチン化
『週刊新潮』 2022年11月10日号日本ルネッサンス 第1023回10月22日に閉幕した中国共産党大会、その直後に開かれた中央委員会第1回総会(1中総会)で決定された人事は習近平国家主席が絶対的権力を確立したことを示していた。但し、一見堅固に思える習氏の権力基盤には、一枚皮をめくると権力の崩壊につながりかねない不穏な要素も少なくない。大会冒頭の政治演説で注目を浴びたのは全分野にわたる習氏の強硬路線だった。とりわけ台湾問題では強気ぶりが突出していた。「祖国の完全統一が中国共産党の確固不動の歴史的任務」だとし、統一のためには「決して武力行使の放棄を約束せず、あらゆる必要な措置をとるという選択肢を残す」と宣言した。党大会の政治宣言で台湾併合のために武力行使もあり得るとしたのは初めてだ。習氏以外の党政治局常務委員6名と中央軍事委員会委員6名は習氏の側近とイエスマンで固められ、「習独裁体制の完成」を印象づけた。これを産経新聞台北支局長の矢板明夫氏は「異様な人事」と呼び、次のように語った(「言論テレビ」10月28日)。...