- 2019.06.13
- 一般公開
中国の対米威嚇、本音は何か
『週刊新潮』 2019年6月13日号日本ルネッサンス 第855回「対話? 歓迎だ。戦い? 準備はできている。我々を脅かす? やれるわけがない」これは6月2日、中国・国防相の魏鳳和(ウェイフォンホー)氏が米国への対抗心も露わに中国国民の声として語った言葉だ。威嚇か、半分本気か。米国の出方次第では戦争もあり得ると、生々しい敵対心を見せている。場所はシンガポール、世界の安全保障問題の専門家が集う毎年恒例のアジア安全保障会議でのことだ。貿易戦争から始まった米中の対立は、いまや赤字黒字問題を超えて国の在り方の根本を問う、価値観の衝突といわれる程、深刻になりつつある。対立が深まる中で開かれたアジア安保会議に、中国は8年振りに現職の国防大臣を送り込んだ。人民解放軍中将ら小物の軍人を出席させてきた去年までとは対照的である。国際会議の場で国防の重鎮が前述のような怒りの表現を口にしたのはなぜか。...