- 2020.06.25
- 一般公開
国恥を忘れるな、中国の暗い原動力
『週刊新潮』 2020年6月25日号日本ルネッサンス 第906回世界に武漢ウイルスを拡散させ、すでに43万人の命を奪っているにもかかわらず、中国政府も中国人も反省の姿勢を見せないどころか、いまや次の世界秩序を構築し、世界を主導するのは中国に他ならないと主張する。横柄というべきこの態度はどこから生まれてくるのだろうか。右の疑問は日本だけでなく、多くの国々の多くの人々が抱いているに違いない。そうした問いに汪錚(ワンジョン)氏の著書『中国の歴史認識はどう作られたのか』(東洋経済新報社・伊藤真訳)が答えてくれる。汪氏は、中国人は、この世の中の最も優れた民族は中華民族であると信じていると強調する。古来より中国が周囲の民族を東夷西戎南蛮北狄と呼び、蛮族ととらえてきたのは周知のとおりだ。中華民族は優れた文化・文明を有し、その徳によって国を治めていると自負し、周囲を軽蔑してきた。その意味で中国は人種差別の色彩が濃い社会だと言ってよいだろう。しかし、同時に「蛮族」が中華の教えに従い、中華文明に染まり、中国人になるのであれば、中国は受け入れてきた。その点で中華民族は寛大であると、彼ら自身は考えている。...