- 2020.06.11
- 一般公開
中国の豪州侵略は、日本への警告だ
『週刊新潮』 2020年6月11日号日本ルネッサンス 第904回豪州は危ういところで踏みとどまった。殆どの人々が気づかない内に中国に国を乗っ取られるところだった。すでに手遅れの分野はあるものの、中国の侵略は「まだ止めることはできる」。オーストラリア人たちが祖国を守る手立てを講じることは、まだ可能である。中国の魔の手を払いのけるのは容易ではないが、希望は豪州政府、そして一部とはいえ議会が、祖国が長年にわたるあらゆる分野への中国の侵略工作に蝕まれていたと、ようやく気づいたことだ。中国は如何にして豪州を意のままに動かし得る体制を築き始めていたのか、その実態を詳述したのが『目に見えぬ侵略 中国のオーストラリア支配計画』(クライブ・ハミルトン著、山岡鉄秀監訳・奥山真司訳、飛鳥新社)である。著者のハミルトン氏は豪州キャンベラのチャールズ・スタート大学公共倫理学部の教授である。2008年、北京五輪の年、豪州における中国勢力の浸透に不審を抱いた。聖火が到着したキャンベラに何万人もの中国系学生が集まり、一般のオーストラリア人が中国人たちから蹴られ、殴られた。自分の国で外国人学生の乱暴狼藉をなぜ受けなければならないのか。そもそも万単位の中国人学生たちは如何にして突如キャンベラに集結したのか。この疑問が氏の中国研究の始まりだった。...