- 2018.09.06
- 一般公開
「中国は世界一」の幻想を脱した二人
『週刊新潮』 2018年9月6日号日本ルネッサンス 第816回題名を見て思わず笑い、中身を読んで慄然とする。いま、盛んに日本に微笑み、「日中友好」を印象づける習近平国家主席の甘い罠に誘われ、前のめりになっている日本の政治家や経営者全員に読んでほしい警告の書が、『私たちは中国が世界で一番幸せな国だと思っていた』(石平、矢板明夫著、ビジネス社)である。周知のように中国人だった石氏は天安門事件などを機に中国への疑問が決定的になり日本国籍を取得した。矢板氏は中国残留孤児2世で15歳の時に日本に引き揚げた。慶應大学国文科で和歌を学び、松下政経塾、中国社会科学院などを経て産経新聞の記者となった。一定の年齢まで中国人として育ち中国を見詰めた両氏の中国理解と、両氏が打ち出す対中政策は、日本の中国研究者のおよそ誰よりも本質を突いている。...