- 2017.12.21
- 一般公開
日欧EPAで拓く日本の未来
『週刊新潮』 2017年12月21日号日本ルネッサンス 第783回安倍政権の外交の巧みさを実感したのが、12月8日の日欧EPA交渉の妥結だった。この日本と欧州連合との経済連携協定は、来年夏にも署名され、再来年春にも発効する。ドナルド・トランプ米大統領は、12か国がギリギリの妥協を重ねてようやくまとめた環太平洋経済連携協定(TPP)を、今年1月、いとも容易に反故にすると発表した。これによって自由主義陣営の結束が危ぶまれたが、今回の日欧EPAの合意には、TPP頓挫の負の影響を着実に薄める力がある。日欧EPAは世界の国内総生産(GDP)の約3割、貿易総額の約4割を扱う。日本が参加する自由貿易協定(FTA)としては最大規模で、日欧間貿易では最終的に鉱工業製品、農産品の関税がほぼ全廃される。...