闘うコラム大全集

  • 2017.11.18
  • 一般公開

北朝鮮情勢や中国の脅威こそ重要なのにより大きな危機を後回しにする韓国政府

『週刊ダイヤモンド』 2017年11月18日号

新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1207
 


ドナルド・トランプ米大統領歓迎の晩餐会で韓国政府が「独島エビ」を献立に、元慰安婦をゲストに加えたのにはいささか驚いた。菅義偉官房長官は、「外国が他国の要人をどのように接遇するかについて政府としてコメントを差し控えるが、どうかとは思う」と語った。本当に、どうかと思う。


歴史を振りかえれば、竹島は間違いなくわが国の領土で韓国が不法に占拠しているにすぎない。他国の領土問題には介入しないのが米国の建前だが、実は竹島は日本国の領土であるとの立場は共有している。


わが国は大東亜戦争で敗北、占領された。占領が終わりに近づいた昭和26(1951)年、どの範囲を日本国の領土とするかについて連合国側は調査に入った。米国案は主な4つの島に加えて竹島も日本の領土として認めていた。これがサンフランシスコ講和条約の第二条(a)である。


その内容を察知した韓国は、早速駐米大使を時のトルーマン政権の国務長官特別顧問、ジョン・フォスター・ダレスの元に派遣し、済州島、巨文島、鬱陵島の他に竹島(独島)と波浪島を韓国の領土としてほしい旨、要請した。


要請を受けてさらに調査を進めたダレスは韓国政府に書簡をもって「我々の情報によればリアンクール岩(現在の竹島)が朝鮮の領土として扱われたことは一度もない」として、韓国の要請を却下した。波浪島に至っては存在を確認することもできなかった。


その時点で米国政府は、竹島は日本国の領土だとの立場に、明確に立ったのである。このままなら翌昭和27(52)年4月には日本は主権を回復し、竹島も日本国の領土とされてしまう。焦った韓国は52年1月18日、突如、李承晩ラインを設定し、力で竹島を奪い、韓国領に編入した。


以来、竹島は彼らに不法占拠され、今日に至る。不法占拠の海で捕獲したエビは控えめに言っても不法捕獲である。誇りをもって国賓にお出しできるようなものではないだろう。


元慰安婦、李容洙氏(88歳)の晩餐会への招待は何よりも文在寅大統領の反日歴史戦争の姿勢を示す。文氏は2015年12月の慰安婦問題の日韓合意を「(これで)慰安婦問題が解決したというのは正しくない」と批判した。合意を見直したいという本音が透視される発言だ。


おまけに文氏の支持勢力は皆、左翼勢力だ。慰安婦問題で反日を強める程、彼らは満足する。そのような背景が今回の招待につながったのであろう。


ピンクの衣装の李氏はトランプ大統領に自分から手を差しのべ抱擁した。抱擁の写真はトランプ大統領が慰安婦問題で韓国の主張に共鳴し、女性に同情したというメッセージとしてこれから多くの場面で活用されていくだろう。


晩餐会にこの女性を招くと決めた段階でこれらのことはある程度予想できたはずだ。提案したのは韓国側であろうが、米国側が受け入れた。慰安婦問題で渦巻く非常に複雑な感情の中で、米国務省が韓国側の感性を受け入れたといえるのではないか。


問題のむつかしさがここにある。誰しも元慰安婦の女性は気の毒だと同情する。当時は公娼だった、もっと多くの日本人女性が慰安婦だったと言って正面からぶつかるようなことはしたくない。たとえ真実でも、気の毒な元慰安婦の女性という情緒の壁の前で事実は打ち砕かれる。それでも日本側は客観的な事実については語り続け、その一方で政治問題化を避けようと配慮してきた。


今回、そうした努力は文政権には伝わらないことが明らかになった。だが、もっと大事なことは北朝鮮情勢だ。その背後の中国の脅威だ。より大きな危機を後回しにするかのような韓国政府の視野は余りに狭く、危機の深刻さを自覚していない。

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