闘うコラム大全集

  • 2018.08.23
  • 一般公開

朝日英字報道は今も慰安婦で印象操作

『週刊新潮』 2018年8月16・23日合併号

日本ルネッサンス 第815回


慰安婦は日本軍が強制連行したのであり、自分は実際に慰安婦を「狩り出した」と大嘘をついた故吉田清治氏を、朝日新聞は何十年にもわたって持ち上げた。


朝日はしかし、吉田氏の話はすべて虚偽であるとして関連記事を取り消した。それが4年前の8月だった。


イデオロギーとして慰安婦強制連行を主張し続ける少数の人々や、いまだに熱心に朝日を読む人々を除いて、日本国内の殆どの人たちが慰安婦は強制連行ではなかったし、性奴隷でもなかったということを、今では納得していると思う。


ところが、日本人が余り読まない英字報道において、朝日は今も、女性たちは強制連行された、性行為を強いられたという印象を抱かせる報道を続けている。


英字報道は日本人には余り馴染みがないが、その影響力は大きい。なぜなら、日本について世界に向けて報道する特派員やフリーランスの記者らが、必ずといってよいほど、参考にするからだ。


大半の日本人が関知しない英字報道で、日本人からはこっそり隠れるようにして、しかし世界に対しては堂々と、事実に反する印象操作報道を続けているのが朝日新聞だ。


こんな朝日の印象操作を中止させるべく立ち上がったのが米カリフォルニア州の弁護士、ケント・ギルバート氏と、山岡鉄秀氏だ。


山岡氏は『日本よ、情報戦はこう戦え!』(育鵬社)を上梓したばかりだ。2014年、ビジネスマンとして居住していた豪州のストラスフィールド市で、中韓反日団体が仕掛けた「慰安婦像設置」計画に遭遇した。地元在住の日本人のお母さん方は突然降りかかった歴史戦争に困り果てていた。子供は苛められひどく傷ついて帰ってくる。しかし、自分の英語力ではどう反論してよいかわからない。このような状況を知った山岡氏は誓ったという。「日本人としての自分の生き方に関わる根本的問題だ。自分は見て見ぬふりで逃げることはしない」と。


日本に対する情報戦


結論から言えば、氏は現地のオーストラリア人らを巻き込んでコミュニティの一員として市議会に訴えた。さまざまな国籍や人種の人々が仲よく共存するこの町に慰安婦像を建てて、協調的、平和的な人々の生活を乱す権利は誰にもないという論法で説得し、遂に慰安婦像設置を阻止することに成功した。


このときまで、慰安婦問題にも歴史問題にも特別の関心は抱いていなかったという山岡氏だが、実際に反対運動に関わってみると、日本に対する情報戦は激しく、かつ多岐にわたることを痛感したという。その意味では日本はすでに戦時下にあると、氏は断言する。情報戦に疎く、警戒心の薄い日本人はそのように言われれば驚くかもしれないが、情報戦は侵略戦争の始まりであり、情報戦が仕掛けられたら宣戦布告に等しいとの警告は、歴史に照らし合わせてみても正しいと思う。


情報戦に勝つには、必ず、仲間を増やさなければならない。山岡氏がストラスフィールドで実践したように、第三者の支援が大事である。その意味で、英字報道で朝日がおよそいつも慰安婦について旧日本軍の悪行を印象づける内容を発信し続けるのは、知らず知らずのうちに海外の読者に「日本軍は悪い」「日本人は野蛮だ」「女性の敵だ」という考えを植えつける。これではいざというときに日本の味方になってくれる「第三者」はいなくなる。


8月3日、言論テレビでギルバート氏が語った。


「朝日には2回、申し入れ書を出して2回、回答を受け取りました。結論からいえば朝日に対する知的信頼はゼロになったということです。我々は朝日とのやり取りをきちんと本にして世に問います。英語でも出します。国際社会の人々が読んだら、もう誰も朝日新聞を信頼しなくなるのではないでしょうか」


ギルバート氏の憤りは強かったが、そもそも朝日の英字報道はどのような表現で慰安婦を報じているのか。


再びギルバート氏が説明した。


「日本語では『慰安婦問題』と表現します。それが英語報道になると必ず、慰安婦についての説明がつくのです。comfort women, who were forced to provide sex to Japanese soldiers before and during World War IIとかね」


山岡氏が補足説明した。


「慰安婦を関係代名詞で受けて性行為を強制されたという説明部分を加えるわけです。慰安婦は、forced to provide sexだというわけです。forcedとは力で強要されたという意味です。またprovide sexを英語圏の人が読めば、これは対価を支払った行為とは読めませんね。場所もわからない。戦場かもしれない。限りなく性奴隷に近い意味になります」


とんでもない報道


ギルバート氏が強調した。


「英語圏の私たちが読めばprovide sexというのはレイプだったり、奴隷制度の下であったりという意味です。ですから朝日新聞はとんでもない報道をしているのです」


もうひとつの問題点は朝日新聞の英字報道が「受動表現」になっていることだという。どの件(くだ)りを見ても慰安婦の説明は確かに受け身の表現になっている。山岡氏が語る。


「ですから私たちは『誰が』女性たちに性行為を強要したのか、それを明確にして下さいと要望しました」


どう読んでも女性たちは「軍隊による物理的な強制で性行為を強いられた」ととられてしまうと、山岡氏らは考える。だが朝日新聞はこう答えている。


「英語ネイティブスピーカーが読めば、軍隊による物理的な強制で性行為を強いられたという印象を受けると指摘されていますが、当該表現は、意に反して性行為をさせられたという意味です」


ギルバート氏が解説した。


「結果としては印象操作になっていくわけです。相手がそれを、軍隊が強制したと受けとめることを理解しているのに、辞書にこう書いているからと逃げるのですよね」


山岡氏は、シドニーで過去1年に限っても、朝日新聞は12回、慰安婦に関する英字報道を行っている、毎回必ず「forced to provide sex」という説明がついているというのだ。


「ロイター通信の記事を朝日新聞が配信することがあります。その中で、慰安婦の説明として、朝日の説明文とほぼ同じ表現が使われているのです。ロイターのような国際的通信社が使う、つまり、朝日新聞の英語報道が殆どグローバル・スタンダードになっているのです」


朝日は文字どおり、木で鼻をくくったような回答をギルバート、山岡両氏に返してきたが、この新聞、読みたくないと改めて思う。

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