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Vol.208 一般公開

どちらが勝っても日本には厳しい時代

中露が基軸の新安全保障の枠組みが出現する

2016.10.14 59分

 米国大統領選挙まで3週間に迫りました。2回目のテレビ討論の後は、民主党のクリントン候補の優位が伝えられています。共和党のトランプ候補はテレビ討論でふるわなかったうえに、所得税未払い問題や度重なる女性をめぐる猥褻発言やセクハラ疑惑で勢いがなくなり、もはや挽回不可能とさえ言われています。しかし、当初からトランプ候補が大統領に当選すると予測していた木村太郎氏は「平均支持率ではなくラスムッセン調査やロサンゼルスタイムスを見れば、トランプはまだ逆転可能だと思う。大統領選挙は州取り合戦で、選挙のたびに共和党と民主党の間で勝者が変わるスイング・ステート10州をどちらが取るかで決まる。オハイオ州とフロリダ州がどうなるかです」と予測しました。
 日本を代表する素晴らしきニュース・キャスターでジャーナリスト同士の対談は、今回が初めてです。対談では嫌われ者同士と揶揄され「史上最低」といわれる大統領選の勝敗よりも、どちらが大統領になっても必ず直面する国際環境の新しい変化とその変化の中で日本はどのような安全保障を構築しなければならないかに議論が集中しました。木村氏は「新しい安全保障の組み換えが起こると思う。日本は中国を牽制する米国の核の傘が危うくなっているので、ロシアに接近する。そうすると中国とロシアを基軸として安全保障の新しい枠組みができる。その意味で12月15日の安倍・プーチン会談は大事だ」と指摘しました。櫻井キャスターは「ロシアと戦略的に結び中国を牽制するのはよいアイディアだが、日米安保で米国に守ってもらっている日本が、米国が反対しているにもかかわらず、ロシアと戦略的な安保関係を築くことが可能なのか」と問うと、木村氏は「日露防衛同盟にはならないが、日米安保はなくなっていくと思う。ポリティカル・コレクトネス(Political correctness)で核の先制攻撃をしない、戦争しないというオバマ大統領の外交方針を引き継ぐといっているクリントンには頼っていられない。日本は自分でやらなくてはいけない」と応じました。

≪動画インデックス≫
 1.木村太郎のトランプ大統領当選予測の根拠は何だ
 2.「スケベ親父」と「利権まみれのうそつき政治家」の2択選挙
 3.トランプ支持層が抱える不満をクリントンは吸収できるか
 4.ラスムッセン調査を見れば、トランプの逆転勝利はまだ可能だ
 5.NYタイムズベストセラー漫画『クリントン・キャッシュ』を読む
 6.米メディアのほとんどはクリントン偏向
 7.シリアのアレッポを知らなかった大統領候補
 8.巨額のチャイナマネーがクリントン財団に流れる
 9.オバマ大統領の親中路線はクリントン国務長官が引いた
10.新しい安全保障の組み換えが始まった
11.勘のいい安倍首相は「新しい安全保障」の道を模索している
12.日露が安保で近寄れば米国は退く
13.南シナ海など既成事実は外交ではひっくり返せない
14.日露が経済協力を深めれば安全保障も深まってゆく
15.日本を守るためには強い軍隊が必要だ

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木村太郎

木村太郎
ジャーナリスト

1938年米合衆国カリフォルニア州生まれ。1964慶応大学法学部卒業後、NHKに入社。記者としてベイルート特派員、ジュネーブ特派員、ワシントン特派員。1979年「ニュースセンター9時」の4代目キャスターに就任。1986年に「第12回放送文化基金賞」、1987年に「ボーン上田記念国際記者賞」を受賞する。「ニュースセンター9時」の終了とともに1988年 NHKを退社し、同5月木村太郎事務所を開設。フリーランス記者として新しいスタートを切った。1990年~1994年FNN「ニュースCOM」のキャスター、2000年までFNN「ニュースJAPAN」、2013年までFNN「スーパーニュース」でニュース・アナリストを務める。現在、FNN「Mr.サンデー」に隔週出演中。東京新聞にコラム「太郎の国際通信」を毎週連載中。

※ プロフィールは放送日2016.10.14時点の情報です

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