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闘うコラム大全集
- 2026.01.29
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高市・メローニが国際政治の鍵となる
『週刊新潮』 2026年1月29日号
日本ルネッサンス 第1181回
1月9日深夜、高市早苗首相が衆議院の解散を検討との読売新聞のスクープ報道があった。1月13日、高市氏は奈良で韓国の李在明大統領と首脳会談を行った。李氏は現実重視外交で、歴史認識を持ち込む年来の反日外交を封印した。日韓外交で成果を得た高市氏は16日からイタリアのメローニ首相との首脳会談に臨んだ。
二つの首脳会談の隙に高市氏自身が解散の意向を明らかにし、日本中のメディアが解散論議一色となったその日、即ち14日に、驚きの公明、立憲民主の新党設立が明らかになった。
嵐のような烈しさで政界再編が進む中、日伊首脳会談はその重要性の割に殆ど話題にならなかった。しかし、迫り来る中国の脅威をどう抑止するか、グリーンランドを入手するために、反対する欧州の同盟諸国に関税を課すという不合理な政策を展開する米大統領トランプ氏の脅威をどうかわすか、などを考えると、今回の日伊首脳会談の意味は、実は極めて大きい。
1月15日、デコード39(ウェブサイトで展開されるイタリアのシンクタンク)は、メローニ、高市両氏はトランプ氏と共に仕事ができる能力を示したと評価した。両氏はトランプ氏に物を言える宰相たちだと認めたのだ。その上で「欧州、インド太平洋地域の安全保障及び政治変革について彼女らの声は重要な意味を持つ」と論評した。
米紙「ニューヨーク・タイムズ」(NYT)も16日、高市、メローニ両氏を「世界で最も影響力のある指導者」だと絶賛した。あのリベラルなNYTが、保守、時には右翼などと論評される2人の宰相をほめ上げたのである。
国内で国会解散、総選挙の準備をしながら首脳外交を展開した高市氏の考えは地政学に基づいている。北朝鮮及び中国の脅威を考えれば韓国の重要性は今更言うまでもない。李氏は来日前に訪中しており、中国の習近平国家主席は「歴史の正しい側(中国側)に立って正確な戦略的選択をしなければならない」と、歴史問題で反日共闘を呼びかけた。対する李氏は「(習氏の言葉は)孔子の言葉として聞いた」と受け流し、日本と歴史認識問題で対立する意思のないことを示した。
米国に頼りすぎ
北朝鮮という危険な爆弾を抱え、常に中国の圧力を受ける朝鮮半島情勢で、わが国が望み得る最善の状況は韓国との関係が安定していることだ。中国の存在を念頭に、高市氏は対韓国外交で賢く対応したと思う。
他方イタリアとの外交は、米国との関係性を持続させるために決定的意味を持つだろう。日本ではイタリアはファッションや文化の国というイメージが強いが、実は軍需産業で持っている国でもある。そのイタリア、そして英国と共にわが国は2035年までの配備を目指して次世代戦闘機を開発中だ。「グローバル戦闘航空プログラム」(GCAP)である。
高市氏はメローニ氏との共同記者会見で、日伊両国の軍事的協力が深化していることを以下の3点を強調して説明した。⓵昨年9月に日伊物品役務相互提供協定いわゆるACSAが発効した、⓶艦船の相互寄港、共同訓練の実施を進める、⓷GCAPの下での次期戦闘機共同開発を促進する、である。とりわけ⓷については「目覚ましい進展が見られる」として、進展の速度を上げたい旨をわざわざ強調した。
日本にとって欧州2か国と次期戦闘機を開発することが非常に重要な意味を持つ第一の理由は、ここに米国が入っていないことなのである。わが国は国防、安全保障で米国に頼りすぎている。日米同盟はわが国の安全保障に必須ではあるが、米国一国に頼っていてよい時代はすでに終わっている。GCAPの共同開発はわが国が明確にその点を自覚していることを示している。
そのことは、米国にも当然伝わる。米国だけを頼るわけではない日本を、米国は当然視しにくいだろう。イタリアに対しても、英国に対しても同様であろう。ここに自ずとよりよい力のバランスが生まれ得る。それはわが国の自立に、必ず、前向きの力を与えてくれるはずだ。
高市、メローニ両氏はGCAPの進展を加速し、確実に成果を得ると、力強く合意したが、同プログラムの性格そのものにもうひとつ、比類ない重要性があることを心に刻んでおきたい。
GCAPでの次世代戦闘機はシステム・オブ・システムズ(SOS)と評価されている。現時点においていずれの国も実現できていない新たな戦い方である、高度なネットワーク戦闘を可能にするものなのだ。
具体的に行動する2人
複数の独立したシステムを連携させる点が最重要だ。開発中の戦闘機はその中心を占めることになる。全てのシステムを戦闘機が統合するのだ。戦闘機はあらゆるプラットフォームと連携する。艦艇、人工衛星、人間、地上局など全てにつながる。その結果、文字どおりこれまで存在しなかった高度なネットワーク戦闘を展開する能力が生まれる。現在活躍中の第5世代戦闘機を、単に第6世代に置きかえるという次元の開発ではないのである。
日英伊いずれの国も最大最強の企業をこの計画に投入済みだ。日本の場合は三菱重工であり、日本航空宇宙工業会傘下の幅広い国内企業群である。イタリアはレオナルド社、イギリスはBAEシステムズ社、いずれも各々の国における最大手の防衛企業である。
今GCAPの本部は英国のレディングに置かれており、初代首席行政官にはわが国の元防衛審議官、岡真臣(まさみ)氏が就任している。これまでにない軍事的優越性、特性を持った仕組みを、日本がその中心に喰いこんで創り上げようという計画だ。それを高市、メローニ両氏が全力で推進していくことになった。その意味するところは大きい。
いまどの国のメディアも高市、メローニ両氏に注目している。これは日本の私達にとっても大層うれしいことだ。NYTはざっと以下のように2人の共通点を示した。
2人は政治家の家の出身ではない。メローニ氏はローマの労働者階級のシングルマザーに育てられた。高市氏の母は地元の警察署で、父は車の部品製造企業で働いた。両氏は「ガラスの天井」を破る道を歩んだが、女性を力づける政策は採用していない。保守的、右翼的な背景から生まれた2人はフェミニスト文化には少しも興味がない。日本もイタリアも少子高齢化なのに、2人は外国人労働者に厳しい政策を採用する。
NYTの斜に構えた論評よりも指摘しなければならないことは、日伊両宰相は共に米国依存の現実の下で、自立力を高め、中国及び米国の脅威や圧力を自分たちの努力でかわそうとしていることだ。共に自立を目指して具体的に行動する2人の政権が長期にわたることを私は願っている。
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