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  • 2013.10.23
  • 一般公開

伊勢神宮の式年遷宮に参列して

 10月2日、伊勢神宮の内宮で執り行われた式年遷宮に参列する機会を得ました。日本人として本当に嬉しく、感動した体験でした。

 天照大神を祀る伊勢神宮は、日本の歴史の、いわば原点です。その神様がおわしますお社を20年毎に建てかえる式年遷宮は、多くの人が8年の歳月を費やして準備してきました。社殿を建て替え、神様をお遷しするため、およそ33の諸祭行事が行われました。御用材の伐り出し、新宮のご造営、御装束や神宝の調製、御敷地(みしきち)に御白石を敷き詰める御白石持行事などです。

 今回参列し、これらすべての凝集を見ることができたのはとても嬉しいことでした。


# 日本晴れのお伊勢さん

 新幹線で名古屋まで行き、近鉄特急で宇治山田駅に着きました。駅周辺の様子からも地元の皆さんがこの日のために一生懸命準備してこられたのが分かりました。東京は雨でしたが、お伊勢さんは日本晴れ。「神様がお遷りになるのに、本当にいい日だなあ」と思いました。

 午後5時までに神宮の森の大きな樹木の下にしつらえた席に着きました。私の席は新旧正宮を結ぶ参道脇の特別奉拝席でしたが、後方でしたので実際は何も見えません。しかし見えなくてもよいものなのだと思います。五感を研ぎ澄まして何が起きているのか感じることができればいい。神様がお遷りになることを感じ取れれば、それがいちばん大事で、それで十分だと思います。


# 神々の森

 しばらくすると、ザッザッザという、砂利を踏む浅沓(あさぐつ)の音が聞こえてきました。暗闇の中をぼんやりと白い影も動いていきました。後でテレビの映像を見て分かったのですが、前を通られた中には、おそらく秋篠宮殿下もおられたし、黒田清子様も安倍総理もおられたはずです。

 その合間に鹿が鳴きました。「きゅう~」というような声でした。百人一首に「奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声聞く時ぞ秋は悲しき」という歌がありますね。私は鹿が泣いたのを初めて聞きました。フクロウのような声もしました。人によってはムササビが飛んだのを見たという人もいました。

 「深い森の中に神様がおられるんだなあ」と思いました。西洋の教会と違って麗々しい飾りもなく、強固な建物もありません。遷御を見守らせていただく私たちも、大きな樹木の下にしつらえられた椅子の上にちょっと座っているだけです。神様が遷られる道も、私たちが控えている空間もすべて雨風が吹き通していく場所です。人間は文字通り自然の一部であり、鳥や獣の声を聞きながらひたすら待つ。これが日本人の本来の在り方であり、日本の神々様のおわす形なのだと、理屈抜きで感じたことでした。

 神域を流れる五十鈴川には魚が泳いでいるでしょうし、清らかな水の流れのそばの森に神様がおられる。その神様が護ってくださっている日本の国土に生きとし生けるものの一人として、そこにいることの感謝と、至福を感じた時間でした。


# 神様が遷られる

 明かりがすべて消され、真っ暗闇になりました。神様が古いお社をお出になって新しいお社に向かわれる時間がきたのです。その合図として「カケコー」という声が唱えられるといいますが、遠くてよく聞こえませんでした。闇と静寂が、浄闇(じょうあん)の世界を作っています。

 闇のなかでは感覚が鋭くなるといいますか、遠くのほうに赤みを帯びた灯りが見えてきました。神様が絹の帳(とばり)につつまれてお渡りになるんだと感じました。

 そのとき風が吹いたのです。私たちが座っている場所の樹の高さは、おそらく20メートルも30メートルもあったでしょうか。それまで静かだったのが、大きな枝がざわざわぁーっと揺れました。

「あっ、神様がお渡りになる」

 私はそこで自然に頭を垂れ、手を合わせました。そのように極く自然に合掌する人々は少くなかったと思います。お姿はもちろん見えないけれど、神様がここにいらっしゃる――。それが実感でした。

 古いお社から新しいお社へ遷るのに、20分ほどかかると聞いていました。その間、いろいろ人の足音が聞こえてきました。ほのかな灯りや白い幟(のぼり)のようなものも通りすぎていきました。すると、もう1回、風が吹いたのです。神様が新しいお社に入るころではないでしょうか。


# 神様が喜んでおられる

 あの2度にわたる風は、神様は本当におられて、あのとき確かにお遷りになったことを示していると思いました。ある意味の超常現象です。何年間も神宮の各部署の方々と日本全国の匠たち、奉仕した多くの人々が準備を重ね、篤い信仰心を新宮の設営という確かな形にして奉げたことを、神様は識っておられてお喜びになり、満足なさって新しいお社に遷られたと実感しました。

 神様を大事にする日本人の心は、2700年も続いてきました。それをわが国の神々は見て下さっている。だから、日本は大丈夫だと本当に思いました。これからも日本は護っていただけるし、現世を生きている私たちが、きちんと祖国を護っていく努力を重ねることを、この日、心に誓ったことでした。


                           櫻井よしこ


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