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Vol.218 一般公開

大災害と国土強靱化

2018.07.20 42分

7月20日金曜夜10時、第218回のゲストは、元国土交通省技監の大石久和さんです。
西日本を中心とする豪雨災害で多数の死者、不明者が出ています。
水害での甚大な被害を今後、軽減するために、何が必要なのでしょうか。
「1時間の降水量100mm以上」の年間発生件数が、1976年から1985年は平均1・9回だったのに対して、2007年から2016年は平均3・0回と、1・6倍になっています。
大石さんは、「自然が凶暴化している」と指摘しています。
にもかかわらず、日本は先進国の中で、1996年と比較して唯一、治水対策などを含む一般政府公的固定資本の額が減っています。
しかも、近年は雨量が増えていることにより、諸外国は河川に流れる水の量を増やして見積もった治水対策をしていますが、日本ではそれができていません。それどころか、治水対策の予算は半減以下になっているということです。
日本の国土の特徴は、国土全体に山脈があることです。それによって川が短く急になります。川が広大な面積を持ち、緩やかに流れるヨーロッパとは異なり、短く急な日本の川は、一つの雨域に河川全体が入ってしまうということもあり、治水対策は必須課題です。
また、先日、大石さんらが発表した試算で衝撃を与えた首都直下地震、南海トラフ地震、三大湾の巨大高潮及び三大都市圏の巨大洪水による被害額。この試算は交通インフラの寸断や生産活動の停止などに伴う経済的な被害額を20年間という期間を定めて推計したものです。
南海トラフ巨大地震が発生した際に20年間の経済的な被害が最悪1410兆円、首都直下地震は778兆円。高潮や洪水による14カ月間累計の被害推計は、東京湾で巨大高潮が起きれば最悪110兆円、東京荒川巨大洪水で62兆円と見積もられています。
これらに必要なのは公共インフラ投資です。
被害を軽減するためのインフラ投資の重要性について、詳しくお伺いします。

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大石久和

大石久和
元国土交通省技監、国土技術研究センター国土政策研究所長

945年兵庫県生まれ。公益社団法人土木学会第105代会長。1970年、京都大学大学院工学研究科修士課程修了。同年、建設省入省。建設省道路局長、国土交通省技監を歴任。2016年より一般社団法人全日本建設技術協会会長。また、京都大学大学院経営管理研究部特命教授、一般財団法人国土技術研究センター国土政策研究所長を兼務。専攻・国土学。著書に『国土が日本人の謎を解く』(産経新聞出版)、『国土と日本人』(中公新書)、『「危機感のない日本」の危機』(海竜社)など。

※ プロフィールは放送日2018.07.20時点の情報です

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