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Vol.651 会員限定

トランプ「関税大逆転」の深層

米中“チキンレース”止めると臆病か

2025.04.11 62分

≪櫻井よしこの対談後記≫
 トランプ米大統領の関税政策に世界中が引っ張り回されています。トランプさんの狙いはなにか、如何にしてこの関税政策が展開されることになったのか、ジョセフ・クラフトさんと細川昌彦さんと共に論じました。
 クラフトさんはアメリカの財務長官ベッセントさんと非常に親しく、アメリカ側の事情をわかりやすく説明してくれました、注目すべきは、日本は相互関税を外されたといってホッとしているかもしれないが、各国一律の10%の関税、自動車、鉄鋼アルミなどにかけられる25%の関税はそのままだということです。
 アメリカ政府はこれを、恒久的にかけ続けたいと考えています。ですから、いましっかり対応して日本の国益を守らなければならないのです。クラフトさんの指摘を私たちは心すべきですね。
 でも、そうした危機意識が一番低いのが石破首相ではないでしょうか。赤澤亮正さんを担当特使にあてるなど、もってのほかだというのが細川・クラフト両氏の結論でした。

≪対談で語られた論点≫
 1.トランプが「相互関税90日延期」した背景
 2.トランプ豹変に関わった政権内の人間関係と勢力図
 3.交渉相手がベッセント財務長官は日本に朗報
 4.日本には自動車関税25%が残ったままで安堵できない
 5.トランプ関税には大きな道筋が描かれていない
 6.米国の威厳でもある国債を売っているのは誰か?
 7.トランプ中間選挙までのディールと習近平の作戦
 8.経済戦争では独裁国の方が民主主義国より強い理由
 9.米国に輸出できない中国の過剰生産品の行方
10.米国への中国の報復は関税だけでなく輸出規制
11.日本は水産物輸出解禁とFTA締結を中国と取引するな
12.トランプ石破電話会談は成果があったのか
13.トランプの懐に入ることは簡単だ
14.日米貿協定を軸にプラスα+情で交渉せよ

ジョセフ・クラフト

ジョセフ・クラフト
経済アナリスト

1964年に神奈川県で生まれ、1986年カリフォルニア大学バークレイを校卒業。同年にモルガン・スタンレー・ニューヨーク本社に入社。1987年同社東京支社に着任し、2000年に為替本部アジア共同責任者や債券トレーディングのマネージングディレクターを務めた。2010年にバンク・オブ・アメリカ東京支店副支店長兼為替本部長を経て、2015年にロールシャッハ・アドバイザリー(株)を設立、代表取締役に就任。その他、ソニー・グループ株式会社社外取締役や東京エレクトロン株式会社の社外取締役に現在就いている。

細川昌彦

細川昌彦
明星大学教授・国基研企画委員

1955年生まれ。77年東京大学法学部卒業、通商産業省入省。「東京国際映画祭」の企画立案、山形県警出向、貿易局安全保障貿易管理課長などを経て98年通商政策局米州課長、2002年貿易管理部長など通商交渉を最前線で担当した。02年ハーバード・ビジネス・スクールAMP修了。03年中部経済産業局長として「グレーター・ナゴヤ」構想を提唱。04年日本貿易振興機構ニューヨーク・センター所長。06年経済産業省退職。中部大学中部高等学術研究所特任教授を経て、現在は明星大学教授。著書に『メガ・リージョンの攻防』(東洋経済新報社)、『暴走トランプと独裁の習近平にどう立ち向かうか』(光文社新書)など。

※ プロフィールは放送日2025.04.11時点の情報です

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