闘うコラム大全集

  • 2017.05.20
  • 一般公開

経済政策の具体論見えない共産党 共闘の民進党ともに描けぬ明るい展望

『週刊ダイヤモンド』 2017年5月20日号

新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1182


連休中に読んだ『共産主義の誤謬』(福冨健一著、中央公論新社)がためになった。民進党が日本共産党と選挙協力を深めようとするいま、共産党が一体どんな政策を実現しようとしているのか、知っていればきっと役に立つ。

 

皇室については「一人の個人が世襲で『国民統合』の象徴となるという現制度は民主主義および人間の平等の原則と両立するものではない」として、否定する。

 

自衛隊については「憲法9条の完全実施(自衛隊の解消)に向かっての前進をはかる」としている。

 

ちなみに( )内の自衛隊の解消という注釈は私がつけたのではなく、共産党綱領に書いてあるものだ。

 

引用した皇室、自衛隊に関する記述は2004年綱領に明記された内容そのままだ。同綱領は現在も維持されていることから、皇室も自衛隊もいずれ廃止する政党が共産党である。

 

では次に共産党の経済政策はどうか。福冨氏は04年綱領には経済成長のためのマクロ経済政策が欠落していると指摘する。経済の大枠を示すことなく、個々の政策だけを示しても余り意味はない。ロシア経済が破綻しそうなのも、中国経済が矛盾と問題だらけなのも明らかな中、共産党は綱領に「旧ソ連の誤りは、絶対に再現させてはならない」と明記するが、共産党の経済政策とは具体的には何か。

 

その前に彼らがどんな国の形を目指しているのかも知っておきたい。共産党綱領は、日本の課題は、「資本主義を乗り越え、社会主義・共産主義の社会への前進をはかる社会主義的変革」を行うことだとしている。

 

社会主義的変革とは、「主要な生産手段の所有・管理・運営を社会の手に移す生産手段の社会化」だそうで、「社会主義的改革」を推進するには、「計画性と市場経済とを結合させた弾力的で効率的な経済運営」が重要だと結論づけている。

 

こうした文言を読んでも、しかし、具体的な経済政策のイメージは湧いてこない。福冨氏は「中国で行っているような改革・解放の経済運営なのか、判然としない」と論評するが、そのとおりだ。氏は、コミンテルン(共産主義インターナショナル)の日本支部として日本共産党が設立された1922年の綱領から04年の綱領まで、全部で7つの綱領(時にテーゼ、或いは文書、などと表現される)を読んだうえで、共産党が全ての綱領で「経済の統制を掲げている」ことを指摘する。

 

その一方で、共産党綱領には統制経済の全面的な否定や、私有財産の保障なども明記されていて、分かりにくい。

 

04年綱領には「主要な生産手段の社会化」が、94年綱領には「大企業の生産手段の社会化」が謳われているが、具体的にどういうことか。福冨氏は、共産党幹部会委員長の志位和夫氏が「共産党の統一戦線の対象者」から外す人として「資本金十億円以上の(企業の)役員」と語っているのを参考に、次のように警告する。


「綱領に具体的記述はないが、仮に資本金十億円以上の企業の国有化を行えば、株価の暴落、金利の高騰、グローバル企業の撤退、企業の国際競争力の破綻など、日本経済は壊滅的打撃を受ける危険性がある」

 

共産党は国民に手厚い福祉を保障し、国民が主役の国を目指すと標榜する。こうした政策の実現にはしっかりした経済基盤が必要だ。しかし、健全で成長する経済をどのように実現するのかという点になると、さっぱり、展望が見えてこないのが、共産党の問題だ。

 

世界の先進国の中で、共産主義勢力が伸びているのは日本だけだが、理由として、そのイデオロギーに加えて共産主義経済ではうまくいかないからではないか。とまれ、民進党は共産党と共闘するという。私は両党の未来に全く明るい展望を抱けないでいる。

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