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Vol.619 会員限定

ゼレンスキーの「捨て身の越境攻撃」の狙い

“プ-チン核”を通常兵器で抑止できるか?

2024.08.30 65分

≪櫻井よしこの対談後記≫
 今夜は非常に考えさせられるテーマとなりました。ウクライナ侵略戦争の行方です。岩田清文さんと小泉悠さんがゲストでした。
 ゼレンスキー大統領のロシア領土への奇襲作戦は、政治的にはかなりの成功を治めました。その戦略を深掘りしていくと、ゼレンスキー大統領の洞察力の鋭さが感じられます。
 しかしそれは軍事的には非常に危うい路線を歩むことでもあります。戦況を変える軍事力はウクライナにはなく、プーチン氏はウクライナを全面的にとりこむことを諦めず、戦争はこれからも長く続いていくという予測でした。
 にもかかわらず、日本はウクライナの側に立って、助けなければならない。理由は日本も米欧もプーチン氏や習近平氏の治める国際秩序の下で生きていくことは受け入れられないからです。
 皆さまもどうぞ考えてくださればと思います。

≪対談で語られた論点≫
 1.外交、安全保障から考えた総理大臣の資質
 2.ウクライナ軍のロシア越境奇襲攻撃の目的
 3.狙いはロシア領内に戦争を持ち込む
 4.プーチンは越境攻撃を侵略でなく単なるテロと認識
 5.越境攻撃に踏み切る3段階の賭け
 6.停戦に追い込めるまで越境支配地を確保できるか
 7.「ポクロウシクの戦い」の重要性
 8.停戦交渉のキイはウクライナの「主権」制限
 9.プーチンの要求は「NATOに入るな」「東部4州は諦めろ」
10.なぜ越境攻撃支配地をプーチンは取り戻さないか
11.72歳プーチンの死は近いのかどうか
12.ウクライナ支援は日本の安全保障のため
13.独裁者が何でもできる国に民主主義国はどう対抗する
14.ゼレンスキーがバイデンに示す終戦計画とは
15.追詰められたプーチンの行う「癖」とは
16.ゼレンスキーの狙いは東部戦線兵力→越境支配地に
17.通常兵器で核抑止をするのは日本と台湾の目指す道

岩田清文

岩田清文
元陸上幕僚長

1957年生まれ。79年に防衛大学校卒業後、陸上自衛隊に入隊。戦車部隊勤務を経て、93年、米陸軍指揮幕僚大学へ留学。2010年、陸将、第7師団長。11年、統合幕僚副長。12年、北部方面総監。13年、第34代陸上幕僚長と歴任し、16年に退官。

小泉悠

小泉悠
東京大学先端科学技術研究センター准教授

1982年千葉県生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修了(政治学修士)。民間企業勤務を経て、外務省国際情報統括官組織専門分析員、ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所客員研究員等としてロシアの軍事・安全保障政策研究に携わってきた。2011年に未来工学研究所に入所し、2017年から特別研究員。2019年よりで東京大学先端科学技術研究センター特任助教、2022年から現職。主著『軍事大国ロシア』(作品社、2016年)及び『プーチンの国家戦略』(東京堂出版、2016年)、共著『大国の暴走-「米・中・露」三帝国はなぜ世界を脅かすのか』(講談社、2017年)、共訳書『ロシア新戦略』(ドミトリー・トレーニン著、作品社、2012年)などの業績がある。

※ プロフィールは放送日2024.08.30時点の情報です

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