今、農業には熱い視線が注がれています。夏までにアベノミクスの成長戦略を決める「産業競争力会議」の中心議論は、農業を成長産業に変えるための戦略です。3月29日(金)夜9時「櫻LIVE 君の一歩が朝(あした)を変える!」第23回生放送のゲストは、年商50億円を達成した農事組合法人「和郷園」の代表理事木内博一さんです。強い農業、攻める農業と言うのは簡単ですが、一般の農業従事者が具体的に何をすればよいのか、どのように農業経営を展開すればよいのかを櫻井キャスターが聞きました。
対談は、「一般的に『農業』と言うのは、『工業』と言うのと同じです」という木内代表の説明から始まりました。「工業に自動車から靴下までそれぞれの産業があるように農業もそれぞれの品目で異なります」「日本の自然条件の中で世界を相手に勝てる品目と、努力しても勝てない品目があります」と述べ、農業全般をひと括りで論ずるのではなく勝てる品目を選びながらTPP時代の勝負をすべきだと語りました。
木内代表はこれからの農業経営を「リーダーシップの取れる経営者を育て法人化などで組織した農業経営を主軸とするのが時代の流れだ。経営の規模は、農家収入のひとつの目途として年間3,000万円以上とし、そのような農家を地域の中で育て上げる」ことが第一歩だと語りました。櫻井キャスターが「その規模に入らないほとんどの農業従事者はどうなるのか」と訊ねると、木内代表は「中心になるのは2万戸の農家だが、これが当初4万戸あってもいい。中心になる農家の下に、それぞれが得意とする農産物を専門的に生産する委託農家を20軒ずつ置く。中心農家が3億円の売上げ、20戸のそれぞれが1,000~1,500万円、或いは3,000万円の売上げを見込む。1法人が10億円のイメージの戦略を考えている」と明らかにしました。
櫻井キャスターが木内代表と議論したい事柄の一つは、強い農業を育てると共に、規模を広げられない山間地の農業をどう守るのかということでした。この質問に木内代表は「農業者より地域住民に焦点を絞るべきだ。水,景観、文化伝統、そして農業も保全事業として地域住民で支える。事業としての生産性、合理性を求めるだけでなく、国土全体の価値を担保するために補助金などでしっかり残す」という考え方を示しました。条件の良い平地と条件の悪い山間地の農業の取り組みを分け、平地はファンドマネーなどでリスクを取った経営を行い、山間地は国が補助金などで支えるというのが木内代表の意見でした。
木内代表は、5人の仲間で産直農産物をトラックに積み東京まで運んだ起業当時を振り返りながら「作るだけではなく流通、小売業、サービスを自ら学んだ。消費者のニーズや変化を考え一歩先の戦略を組んで、半歩先の事業を取り組むことを丁寧にやってきた」と農業経営者を目指す若い世代にエールを送りました。TPP時代の農業には、成長産業としての熱い視線が集まっています。強い農業、攻める農業と言うのは簡単ですが、農業現場での具体的な経営戦略や山間地対策など幅広い、熱い対談動画をご覧いただき、「農業の未来」を理解する参考にしていただきたいと思います。
≪対談インデックス≫
1. 農事組合法人「和郷園」の経営と業務
2. 農業にも分野や品目があり、TPP時代の闘い方が違う
3. 食料自給率40%で農業は危ないというトリック
4. なぜ日本の農業は弱いと思われるのか
5. 強い農業を育てる具体的戦略は何か
6. 木内代表の考える具体的経営戦略
7. 強い農家の育成と同時に山間地の弱い農業を救う方法とは
8. 進路を塞ぐ農協は変われるか、農協法の改正は・・・
9. フードJICA戦略とは
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木内 博一
農業経営者
1967年千葉県生まれ。農水省農業者大学校を卒業後、家業を継ぎ就農。1998年に農事組合法人「和郷園」を設立し、代表理事に就任した。農協が農作物の流通を押さえていた時代に野菜の産直事業を開始し、コンピュータによる生産・品質管理、冷凍野菜販売事業、野菜くずを堆肥にするリサイクル事業などを行い、事業地域に密着した循環型農業のビジネスモデルを構築した。年商はグループ全体で50億円、2005年から海外事業部を展開している。2008年に千葉県農林水産功労者賞を受賞。著書に『最強の農家のつくり方』など。
※ プロフィールは放送日2013.03.29時点の情報です