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闘うコラム大全集
- 2015.01.17
- 一般公開
「南京事件」で米国を“洗脳”する習近平政権の邪悪な政治的意図
『週刊ダイヤモンド』 2015年1月17日号
「新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽」 1067回
1月8日の「産経新聞」が1面で南京事件に関連して、「40万人虐殺」説を伝えた。
これは米国で現在使用されている公立高校の教科書の記述だという。大手の「マグロウヒル」による同教科書には「日本軍は2カ月にわたって7千人の女性を強姦」「日本兵の銃剣で40万人の中国人が命を失った」などと記述されているそうだ。
私の脳裏に浮かんだのは昨年3月、訪問先のドイツでの「南京大虐殺で日本軍は30万人以上を殺害した」という習近平国家主席の演説だ。習主席の対日歴史戦争への執念はすでに米国の教科書に具体的に書き込まれているわけだ。
昨年12月、「親学」教育で知られる明星大学教授の髙橋史朗氏は、米国における中国の対日歴史戦争の実態を調査した。氏はこれまでに、慰安婦像が設置されている全米7つの市を調査済みだ。氏によると、状況は想像以上に深刻である。
「高校教師たちの多くが、頭から南京大虐殺や慰安婦強制連行、そして終戦間際に日本軍は慰安婦たちを虐殺したと信じ込んでいます。中国の情報戦略が徹底しているのです」
中国の対米情報戦略の1つの方法は、費用は中国持ちで米国人を中国に招待することだ。政治家、大学教授、研究者、高校教師など、職種に応じて企画を立て、招かれた側を満足させ、楽しませ、日本への偏見を植え付け、帰国するまでにすっかり中国シンパにしてしまうのだ。
この種の働き掛けを何年も継続することで、中国の歴史観を信じる人を増やしていく。その結果の1つが、米国の高校教師たちの姿であろう。
「南京大虐殺40万人」説など、日本人なら誰も信じない。30万人説も信じない。それ以前に、「南京大虐殺」があったとの主張が虚偽であることを私たちは知っている。
だが、習主席の「30万人以上」という主張が、米国の教科書に「40万人」としてすでに明記され、その教科書で育つ米国人が増えれば、「南京大虐殺40万人」説は近い将来、米国で「真実」となるだろう。
ここで思い出すのが日中戦争の犠牲者の数である。日本の敗戦直後に中国側は中国人の死傷者数は320万人だと主張した。そしてすぐに579万人に上方修正した。中国共産党政府はこれをさらに2168万人に増やした。めちゃくちゃな数字だが、中国政府はひたすら主張し続ける。
だがこの数字さえ戦後50年目にまたもや上方修正された。反日教育を国是と定めた江沢民主席がロシアでの戦勝国記念式典でいきなり中国人犠牲者は3500万人だと大演説したのだ。
それ以来、中国政府は3500万人を公式の数字とし、あらゆる場面で主張し、それを国際社会は引用する。こうしてでたらめな数字が定着していくのである。
「南京大虐殺40万人」説には単なる数字の問題を超えて、習近平政権の邪悪な政治的意図が込められていることを、私たちははっきりと認識しておかなければならない。中国はすでにロシアと共に、今年をナチスドイツのホロコーストと日本軍の残虐な大量虐殺を糾弾する年として、対日共闘を申し合わせている。中国の大きな狙いは、日本とナチスドイツは全く同じであると位置付け、大東亜戦争の歴史を書き換えることなのだ。
中国の邪悪な宣伝戦の前で、日本外務省の対外情報戦略はどう見ても論外である。500億円の予算を得て、ジャパンハウスを建て、アニメと日本食を宣伝するそうだ。慰安婦も南京事件も取り上げるとはいうが、日本が直面している歴史戦争は、ジャパンハウスというハコモノ発想などでは乗り越えられない。情報に関する国家戦略を必死で構築する時だ。
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