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闘うコラム大全集
- 2013.07.06
- 一般公開
日本の主張に耳を傾け始めた英国との絆を深めていく好機に
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 992
6月26日、英国公使のジュリア・ロングボトム氏と日本の憲法改正について語り合った。彼女の関心の一つは自民党憲法改正案の意味と改正の時期だった。「朝日新聞」などの報道故か、自民党改正案は保守的過ぎないかという感じ方があるのは興味深い。
自民党案は確かに「国防軍を保持する」と明記しているが、国防軍は国会と法律によって律せられる。その役割は国民、国土の防衛と国際平和への貢献で、どの国もこの種の使命を国軍に課している当たり前のことである。
ところが現在の自衛隊には他国の軍隊が当然の使命として果たす事柄が実行しにくい。理由は自衛隊が創設当初から警察法の枠内にあり、英国はじめ他国の軍隊と異なり、非常に多くの規制をかけられているからだ。その規制と矛盾を解いて、自衛隊を普通の民主主義国の普通の軍隊にすることが、自民党のいう国防軍創設である。
憲法改正のタイミングについての関心も興味深かった。タイミングと共に東北アジアの安定が重要だとの指摘がなされた。日本の憲法改正には中韓両国が反発し、摩擦が生じる、故に日本は慎重であってほしいのだが……、という思いの反映であろう。
確かに日本の憲法改正に中韓両国は反発するだろう。両国は日本がいかなる意味でも力をつけることを忌み嫌い、全力でつぶしにかかる。とりわけ中国にとってはアジア・太平洋の覇権を握るために、日本とインドをあらゆる分野で弱体化させることが国益であり、国家戦略である。そのような両国の反発をまず沈静化させて憲法改正に取り組むのは、百年河清をまつに等しい。だからこそ、日本は国内議論を重ね、日本の未来と国の形を自ら決し、それに向かって憲法改正に取り組み続けるのが正しいのである。
歴史認識問題への安倍晋三首相の対処は、外交官ならずとも日本国民にとって関心事だ。首相発言は、歴史は政治問題化しない、民間の研究者に委ねるという基本方針を示している。
実はいまこそ日本は官民挙げて歴史研究を後押しすべきなのだ。研究成果は、日本にとっての有利不利を超えて、透明度100%にまで情報公開する。隠し立てをせず、国際社会に全事実を公表するのが最善の方法である。
研究の結果、日本の過ちが明らかになれば、日本はそれを認め、さらに研究を深め、その成果もまた公表するのがよい。そうした知的努力を継続することは間違いなく日本への真の理解を深めてくれる。
これまでの経緯を振り返れば、中韓両国がこれ以上ないほど力を入れて情報戦略を展開し、日本を全面的に悪者にしてきた。対照的に日本政府はほとんど情報発信してこなかった。それが欧米諸国までが歴史問題で日本非難を強める結果になった。
ここまで日本悪者論を中韓両国が広げたいま、私たちは時間がかかるのを覚悟の上で公正な研究と情報公開への惜しみない支援を介して、道を切り開くしかない。そう語ると、公使が指摘した。
「中国の主張が正しいという印象が母国でも強かったのは事実です。しかしそれは微妙に変わりつつあります」
中国の蛮行は歴史問題に限らない。世界貿易機関(WTO)加盟国でありながら、例えば尖閣で自らがあつれきを起こした揚げ句、レアアースを禁輸とするのが中国だ。無法ぶりにいつまでも国際社会が目をつぶり続けることはないであろう。
英国の微妙な変化は、情報の死活的重要性に気づいて発信し始めた安倍政権の世界戦略を奨励するものとみてよいだろう。そもそも日英両国には多くの共通点がある。島国、誇り高い文明、倫理観と慎み深さ。日本の主張に少し、耳を傾け始めた英国との絆を深めていく好機である。
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