闘うコラム大全集

  • 2019.03.09
  • 一般公開

韓国の現政権は事実上の敵対勢力 日本はあらゆる面から備えるべきだ

『週刊ダイヤモンド』 2019年3月9日号

新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1270
 


韓国大統領の文在寅氏が、1919(大正8)年3月1日に起きた反日独立の「3・1運動」の100周年記念日を前に、2月26日、独立運動の活動家、金九の記念館で閣議を開いた。戦時を除き、政府庁舎以外での閣議開催は初めてだ。


文氏は、「国家的な意味を込め」た同閣議に先立ち、金九の墓をはじめ、日本の初代首相、伊藤博文公を暗殺した安重根や日本の要人2人を殺害し死刑になった尹奉吉ら、日本から見ればテロリストらの墓を続けて参拝したと、「産経新聞」が2月27日付で報じている。


他方、康京和韓国外相もスイスの国連人権理事会で異例の演説をした。2015年に日韓両政府が慰安婦問題で最終的な合意をしたのは周知のとおりだ。だが康氏は、その内容は「不十分」で、「被害者中心の取り組みを進める必要がある」と、自国の前政権が誓約した合意を全面的に否定した。


日本側は菅義偉官房長官が「慰安婦問題の最終的で不可逆的な解決を日韓政府間で確認した。政権が代わっても責任を持って実施されないといけない。合意の着実な実施は、わが国はもとより国際社会に対する責務だ」と述べた。岩屋毅防衛相も自衛隊と韓国軍の関係について「韓国軍から緊張を高めるような発信がなくなってきている」「緊張は徐々に解消に向かっている」と語ったが、これ以上事を荒立てたくないとの思いで日本側が発信するこれら警告や見方は通用していない。


戦時朝鮮人労働者問題、自衛隊機へのレーダー照射とその後も続く対日対立姿勢、慰安婦問題での卓袱台返し、安重根ら礼讃の異例の閣議などは文在寅政権の反日路線の表明だ。韓国全体の路線でなくとも、軌道修正は非常に困難だと心得ておくべきだろう。


朝鮮半島全体を、歴史を縦軸とし、現在進行形の国際情勢を横軸として眺めさえすれば、文氏がこれから直面する深刻な問題も、日本が進めるべき対策も、明らかだ。


まず、文氏が直面する問題である。文氏は反日を意識する余り、日本を貶め、日本に協力した人々(たとえば朴正煕元大統領やその長女の朴槿恵前大統領)を貶め、「親日派」の清算に力を注ぐ。また現在の大韓民国の起源を前述の100年前の反日独立運動に求め、そのときの政府は大韓民国臨時政府だとの立場をとる。


文氏はそのうえで、北朝鮮との連邦政府構築に向けて走りたいと考えている。だが、北朝鮮に求愛する文政権に対して、朝鮮労働党委員長の金正恩氏は全く異なる考えを持つ。


金氏は3・1運動の意義など全く認めていない。従って、その日を祝ったりもしない。金氏にとって記念すべきは故金日成主席の樹立した朝鮮民主主義人民共和国の足跡である。祝うべき建国は1948年9月なのであり、1919年も3・1運動も無意味だ。


この北朝鮮の主張及び公式の立場と、自らのそれをどのように整合させていくのかが、文氏の問題だ。文氏は金氏の持論を受け入れて、従来の自らの主張や現在の「パフォーマンス的な反日」を放棄するのだろうか。できるのだろうか。金氏に認めてもらうのに、そこまで自身を否定し、卑下できるのだろうか。そこまでできるのであれば逆に、文氏の大韓民国を滅ぼすという信念は本物だと言ってよいだろう。


朝鮮半島の現政権は、ここまで反日である。国民の半分は政権と激しく対立してはいるが、現政権は日本にとって事実上の敵対勢力であることを日本は冷静に見て取り、この新たな事態に軍事面を含めてあらゆる面で備えることだ。


米国はかつて米国の安全を守る防衛線として、朝鮮半島を除いたアチソンラインを引いた。その歴史が繰り返される体制がつくられていく可能性に具体的に対応するときだ。

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