闘うコラム大全集

  • 2019.06.08
  • 一般公開

緊密な日米関係を内外に示した今回の首脳外交は大成功で終えた

『週刊ダイヤモンド』 2019年6月8日号

新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1282
 


5月25日から4日間、トランプ米大統領の訪日が無事終了した。天皇、皇后両陛下は令和初の国賓をにこやかにお迎えされ、国民も大いに安堵したのではないか。


滞在中、トランプ大統領は対日貿易赤字、日本がF35戦闘機を105機買うことなどに度々言及し、環太平洋経済連携協定(TPP)への激しい反発も口にした。日米間の貿易問題に加えて、拉致、北朝鮮に傾く韓国文在寅政権、膨張する中国の脅威にも対処しなければならない安倍晋三首相にとって、眼前の貿易問題を超えて緊密な日米関係を内外に示すことは、大いなる国益である。その点で今回の首脳外交は大成功だった。


だが、「朝日新聞」は5月28日の紙面で安倍外交を徹底的に批判した。「抱きつき、泣きつき──。トランプ氏に対する度外れた厚遇ぶりには、そんな言葉しか浮かばない」(「天声人語」)という具合だ。社説も「もてなし外交の限界 対米追従より価値の基軸を」と題して、「国賓を丁重に迎えるのは当然だが、度が過ぎる」と書き、安倍首相のイラン訪問予定については、「米国の代弁者では、仲介者たり得ない」と釘をさした。


朝日の主張はただの観念論であろう。拉致問題でトランプ大統領は安倍首相の「代弁者」になって、金正恩朝鮮労働党委員長に日本側の考えや要求を伝え続けている。トランプ・金両首脳の3回の会談のすべてで、トランプ大統領は拉致問題を取り上げた。今回も家族会の皆さんに会い、安倍首相への全面的支持を表明した。


日朝首脳会談は容易に実現するとは思えないが、トランプ大統領が安倍首相の気持ちを代弁した結果、首脳会談の可能性が生まれている。イランに関して安倍首相が力を尽くすことの何が問題なのか。


朝日の論調を「読売新聞」のそれと比較した。読売の社説は「多国間協調を主導する同盟に 貿易問題で無用な対立避けたい」と題し、「貿易収支は景気や為替など様々な要因に左右される」として、「赤字削減に固執する意味が乏しいことを、米国に訴え続け」よと説いた。「TPPから離脱した米国が、参加国より有利な条件を得ては筋が通らない。TPPと同水準の合意にとどめるべきだ」とも主張した。読売の主張の方が余程まともでフェアでもある。


米中対立は単なる貿易赤字削減の域を越えて、国の在り方、いわゆる「価値観の闘い」の域に入っている。知的財産権の窃盗、言論の自由や人権の圧迫、少数民族の弾圧や虐殺、国際法無視の現状変更などに異議を唱える米国に、日本も欧州諸国も程度の差はあるものの共鳴している。だからこそ、同盟国である日本や欧州に、余りにも対立含みの要求を突きつけないでほしいと願っている。


だが、トランプ大統領にはそれが通じない。難しい相手にどうわたり合うか。とりわけ日本の立場は苦しい。本原稿執筆中の5月28日も、中国の5000トンクラス、大型武装船2隻を含む4隻が尖閣諸島の接続水域に侵入中だ。連続47日、この間彼らは度々領海も侵犯した。かつてない軍事的脅威が眼前にあるが、わが国は有効な手立てを打てない。中国や北朝鮮の安全保障上の脅威から日本を守るには力不足で、米国の支援が必要である。


そんなハンディゆえに安倍首相は朝日が主張する「経済も安全保障も、ルールに基づく多国間の協力を重んじ」てきた。TPP11や日欧EPAをまとめ、航行の自由、法の遵守、平和的解決を掲げてインド・太平洋戦略を打ち出したのがその証左だ。日本が実現に漕ぎつけたこれらの実績を評価せずに批判のための批判に力を注ぐ朝日の国際情勢分析は信頼できないのではないか。米国との合意はTPPと同水準にせよと助言する読売を評価するゆえんである。

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