闘うコラム大全集

  • 2019.11.21
  • 一般公開

「嘘の国」韓国を批判する愛国の書

『週刊新潮』 2019年11月21日号

日本ルネッサンス 第877回


文在寅韓国大統領の反日・親北朝鮮、さらに社会主義路線に異を唱え、立ち上がる人々が急増中だ。文氏の「反日」に反対する戦線の最前列に立つのが元ソウル大学経済学部教授、李栄薰(イヨンフン)氏で、その編著書、『反日種族主義』(以下『種族主義』)はベストセラーになっている。反文在寅運動の理論的支柱ともなった同書の日本語版が間もなく書店に並ぶが、一足早く入手して、一気に読んだ。


李氏は経済史の専門家としてずっと数字や事実に拘り続けてきた。フィールド・ワークから導き出される事実は政治的偏りとは無縁である。韓国で流布されてきた反日のための歪曲や捏造とは全く異なる歴史認識や情報を李氏は発信し続けてきた。そのために、ソウル大学教授という尊敬されるべき立場でありながら、凄まじい非難も浴びた。その氏が今回、「命がけ」で論陣を張っている。それが本書の出版だ。


『種族主義』は、冷静な分析と客観的事実に満ちている一方、韓国人には強い衝撃を与えずにはおかない火を吐くような激しい表現がある。


たとえば「嘘の国」と題されたプロローグだ。「嘘をつく国民」、「嘘をつく政治」、「嘘つきの学問」、「嘘の裁判」などの小題は韓国人の心臓を射抜くだろう。その後に今日の韓国を表現する言葉として「反日種族主義」が登場する。


「韓国の嘘つき文化は国際的に広く知れ渡っています」「政治が嘘つきの模範を示しています」「嘘つきの学問に一番大きな責任があります」「この国の嘘をつく文化は、遂に司法まで支配するようになりました」と書いた後、李氏は韓国人の精神を蝕み、韓国を誤った道に誘引してきた反日種族主義について説明する。


長くなるが次のような説明だ。


韓国社会に色濃いシャーマニズムは物質主義と種族主義に通底している。シャーマニズムの世界では両班は死んでも両班で、奴婢は死んでも奴婢である。だからこそ、人々は両班の身分を手に入れようと、嘘も詐欺も働く。汚いカネも許される。こうして皆が物質主義に走る世界には共有すべき真理も価値観もない。何でもありだ。そして一方の集団は究極の利のためにもう一方の集団を排斥する。それらの集団は価値観や文化や情趣を共有する民族では断じてなく、種族に過ぎない。種族を単位とした政治が種族主義である。簡単に言えば種族主義は、事実、理性、合理のいずれとも無関係の「幻想」から生まれる愚かな精神性だ。信用してはならず、影響も受けてはならない。峻拒すべき悪しき精神性で、それが韓国にはびこっている。


祖国韓国に対するこの激しい批判は、学者としての良心の叫びであり、嘘つき国となった祖国への愛であり、絶望に近い口惜しさでもあろう。


幻想に搦めとられて歴史を紡ぐ事例として、李氏は、朝鮮人の日本に対する憎悪の源泉のひとつ、総督府による土地調査事業をとり上げた。


合理的理由があるのか


合計350万部を売り上げた大河小説『アリラン』12巻には土地調査の場面が複数回登場するという。調査を実施する駐在所の警官が土地を奪われる農民の抗議を退け、木の幹に括り付け、銃殺する。小説『アリラン』で描写される日本軍の朝鮮人虐殺の場面は不条理の極みである。


当時は日本の領土だった千島列島守備のための土木工事現場では、朝鮮人労働者1000人が虐殺されたと、『アリラン』は書いた。工事完了時点で日本軍が朝鮮人労働者を「防空壕に閉じ込め」「30分間手榴弾を投げこみ、機関銃射撃を加えて皆殺しにした」、この他、日本軍は同様の手法で4000人余りを殺したとも書いている。でたらめな映画「軍艦島」を連想させる場面だ。日本人は朝鮮人を皆殺しにしたという悪意に満ちた発想は瓜二つだ。


李氏は調査の結果、「この凄惨な虐殺は事実ではない」と断じ、労働力不足の戦時中、やっと確保した貴重な人員を虐殺する合理的理由があるのか、と問う。その上で『アリラン』の著者、趙廷来こそが「虐殺の狂気に取りつかれているのではないか」と疑っている。


その他本書では、日本が「朝鮮の土地の40%を奪った」と教える韓国の教科書の嘘が暴かれ、日本人が朝鮮から食料を奪ったとの言説の嘘も暴かれている。共著者の東国大学経済学科教授の金洛年(キムナクニョン)氏が1931(昭和6)年6月16日の「東亜日報」の記事を紹介している。同記事は、日本も朝鮮も大豊作だったこの年、コメの供給過剰傾向ゆえに朝鮮半島から日本へのコメの輸入(移入)を制限するとの情報についてこう報じている。


「朝鮮農民の立場としては、法律の制定による移入制限にはもちろんのこと(中略)朝鮮米流出の自由を束縛するいかなる措置にも絶対反対するしかない」


日本人がコメを奪ったのではなく、朝鮮の農民がコメの輸出を切望していたということだ。


竹島について


朝鮮人戦時労働者問題については落星台経済研究所の李宇衍(イウヨン)氏が日本人と朝鮮人の待遇は全く同じだったと証明し、竹島については「率直に言って韓国政府が、独島は歴史的に韓国の固有の領土であると証明する、国際社会に提示できるだけの証拠は、一つも存在していない」と明記している。


李栄薫氏はこのような指摘は韓国人にとっては不快であろうが、「一人の知識人として」指摘しないわけにはいかないと書いた。実に立派な人物だと思う。


これらの内容に日本人はホッと胸を撫で下ろすかもしれないが、李氏はざっと次のようにも書いていた。


「ふつうの韓国人は、日本に対し良い感情を持っていません。不快な、あるいは敵対的な感情を持っています。それは長い歴史の中で受け継がれて来たもので、七世紀末、新羅が三国を統一したときからそうなったのではないかと考えています」、と。


663年、日本は百済再興を助けるために出兵し、白村江で唐・新羅連合軍と戦い、敗れた。わが国はその後、唐・新羅連合軍の侵略に備えて防備を固め、独立国としての気概を強めた。李氏はあの頃から千数百年間も日韓は非常に近くにありながらも、疎遠な国であり続けたと指摘し、朝鮮の対日不快感、敵対感はこの時代に遡るというのだ。日本は韓国の仇敵であり、種族主義を噴出させる対象だとも李氏は警告する。


日韓関係を最悪の水準に落とし込んだ慰安婦問題についても、『種族主義』は深く斬り込んだ。日本の敗戦後、慰安婦問題は韓国軍や米軍の問題となり、女性達の境遇はさらに悪化したことが詳述されている。


李氏らはこうした事実を「亡国の予感」の中で書いた。韓国の滅亡を食い止められるのは韓国人の賢さだけだ。この戦いを、私は日本の運命を思いつつ、見守っている。

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