元気になるメルマガ

  • 2012.12.07
  • 一般公開

アジアの期待は日米協調で中国抑止

 田久保さんが語った世界情勢の大変革の最新情報を、皆さんはどうお聞きになったでしょうか。世界の変化を、如何に早く、如何に正確に読み取るかが日本の命運を決めるのは、今更言うまでもありません。その意味で田久保さんの持論をもう少しご紹介していきましょう。

 地図で見れば一目瞭然なのですが、南シナ海、台湾、尖閣の問題はみんなひとつにつながっているのです。この海域の安全を守るために、とりわけ台湾が重要であるのは明らかです。

 大軍拡をやめず、もはや領土拡張への野心を隠すことなくギラつかせる中国の前でアジア諸国が警戒を強め、米中両国の対立がますます深まる中で、台湾の重要性は高まるばかりです。東シナ海で日本が尖閣諸島の完全な実効支配を確立したとしても、また、南シナ海でフィリピンとベトナムが中国の領土要求を退けるとしても、中国が台湾への影響力を強め、事実上支配するに至れば、東シナ海も南シナ海も事実上中国に支配されてしまうということは、これまで繰り返し、お伝えしてきました。

 田久保さんは、「独立自尊の防衛努力を怠り、ついには米中関係いかんによって自国の運命が左右されるところに自らを追い込んでしまった国は日本と台湾である」と喝破します。

 さらに「今年1月の総選挙で2期目に収まった馬英九総統は『統一せず、独立せず、武力行使せず』の公約を掲げて中国との関係改善に入る現状維持の政策を続けてきた」と指摘し、「中国は、北京と台北の関係を改善するとかしないとかといった視点には立ちません。東シナ海と南シナ海を視界に据え、その中心に位置する台湾を政治、経済、文化などあらゆる面で同化し、時間を経るうちに開いていく軍事力の差の前に台湾を自然に無抵抗状態に追い込んでいこうとしているのです」と強調します。

 まさにそのとおりです。中国は国境など歯牙にもかけません。70年代から中国は国境という言葉のかわりに戦略的境界という言葉を用いてきました。これは力のある国の国境線は外に向かって広がり、力のない国のそれは内に向かって引っ込むという考え方です。従って、力をつけた中国が対外的に膨張を続け、軍事的努力を怠ってきたアジア諸国や台湾、それに日本もまた、領土を奪われても当然だと考えるのです。中国の侵出、とりわけ海洋侵出が東シナ海及び南シナ海で明らかなように、相手の主張を一切考慮に入れないのは、当然なのです。

 田久保さんは、そのような中国の侵出振りの一大特徴を、「情け容赦のなさである」と語ります。

「中国海軍は10月19日に農業省、国家海洋局とともに東シナ海で合同演習『東シナ海協力――2012」を実施しました。中国の監視船が日本の海上保安庁巡視船と衝突したという想定での演習で、日本に対する示威行動です。指揮官は海軍東海艦隊の沈浩副参謀長で、海軍艦艇、漁船監視船、海洋監視船など計11隻、海軍の戦闘機を含めた航空機8隻が参加したここ数年では最大規模の演習です」

 田久保さんはこのように語り、日本側の対応のおかしさに言及しました。

 野田佳彦首相が尖閣諸島を国有化して以来、中国の公船がわがもの顔で日本の領海を侵す状態が『常態』化しています。そのことに関して、日本には、そもそも石原慎太郎氏が尖閣購入を言い出したのが悪い、或いは野田首相が国有化したのが悪いなどと、日本側の対応を非難する声はあっても、中国の異常な膨張主義こそが元凶であるとの指摘や批判はあまりありません。

 中国の膨張は国境線を認めない戦略的境界という、まさに弱肉強食の考え方に根ざしているのであり、21世紀の今日において許容され得ない異常な価値観であるとの指摘もありません。中国への批判を遠慮して、日本国内に向けて、的外れな批判を展開する日本を、中国は笑って見ていることでしょう。

 中国国家海洋局の劉賜貴局長が10月17日に北京での座談会で「釣魚島の主権防衛は段階的な成果を獲得した」と述べ、「海上権益確保闘争の最終的勝利に向けて努力する」と強調したことに留意しなければならないと、田久保さんは警告を発しています。明らかにこのことは、尖閣諸島周辺海域で中国の実効支配が既成事実化していることを踏まえて発言されたものです。

 日本と台湾共に、中国は搦め取る手応えを感じているのです。しかし、そのようなことを許してはならないのは当然です。また、世界の動きを見れば、中国の野望を国際社会が阻止しようとしているのは明らかです。  そのような国際社会の、中国を抑止する構えに、日本こそが積極果敢に取り組まなければならないのです。日本には、他のアジア諸国を上回る十分な力があるのですし、アジア諸国も日本に期待しているのです。アジア・太平洋に明確にコミットしている米国と協調して、中国の膨張主義への歯止めとなるのが、日本の役割です。


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