≪櫻井よしこの対談後記≫
藤原正彦さんはまさに教養とユーモアの人です。最終的に人間の魅力はここにあるのだなということを実感させてくれる方です。平成の30年の間に、日本人はどのように変わったのか。その結果、これからどんなことが起きていくのか、教育、研究、子育て、政治、経済、外交、国防、あらゆる分野にわたって、そんなことを話し合いました。
日本は永遠に特別な国であるべきだ、世界からみて「異常」な国であるのがいいのだと藤原さんは繰り返します。その藤原さんの心を今夜の対話の中から読みとってくださればと思います。
対談が終わった後、藤原さんが語った言葉が印象的でした。これからがこれまでを決める。つまり未来が過去、自分のこれまでを決める。これからの生き方によって、これまでの生き方が評価されるか、されないかが決まるという、浄土真宗の教えの1つだそうです。藤原さんは教養を強調しますが、教養は万人に突き刺さる言葉です。だれも自分の教養は十分だと思っていない、思えない。なぜならば、教養は深めれば深めるほど、もっと奥が深くなるからです。だからこそ、これからがこれまでを決めるという言葉は、これからどのように生きるか、教養を積むことによって、これまでの人生が認められるようになるということだと藤原さんはおっしゃる。深い言葉だと思いました。
≪対談で語られた論点≫
1.祖国の誇りが世界の修羅場で自分を支える
2.10年続いた『管見妄語』をやめた理由
3.日本は「普通の国」でなく「異常な国」に
4.武士道精神は感謝の気持ちと思いやり
5.教育を決めているのは文科省でなく経団連
6.英語はしゃべるよりしゃべる内容が大事だ
7.役に立つ人間教育では国際人がいなくなる
8.安全保障だけはグローバリズムが必要
9.英国は自国をヨーロッパと思っていない
10.大改革はトランプ、レーガンしかできない
11.中国人はお金だけで愛国心は持っていない
12.理系メルケルは単純な一本道しか進めない
13.日本は諜報活動を積極的に行うべきだ
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藤原正彦
数学者・作家
1943年旧満州新京生れ。作家新田次郎と作家藤原ていの次男。東京大学理学部数学科大学院修士課程修了。理学博士。コロラド大学助教授を経てお茶の水女子大学教授。現在、同大学名誉教授。1978年、数学者の視点から眺めた清新な留学記『若き数学者のアメリカ』で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞、著書にベストセラーとなった『国家の品格』や『日本人の誇り』、『名著講義』(文藝春秋読者賞受賞)、『孤愁 サウダーデ』(新田次郎との共著、ロドリゲス通事賞受賞)、『父の威厳 数学者の意地』『日本人の矜持』『人生に関する72章』『管見妄語』シリーズなど多数。
※ プロフィールは放送日2019.03.29時点の情報です