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【櫻LIVE】第625回:石橋文登・政治ジャーナリスト・千葉工大特別教授/有元隆志・産経新聞特別記者との対談動画を公開しました
闘うコラム大全集
- 2024.05.23
- 一般公開
泉さん、貴方はお母さんを何と呼ぶの?
『週刊新潮』 2024年5月23日号
日本ルネッサンス 第1098回
思いがけずも立憲民主党の泉健太代表とX上で相まみえることになった。好都合なことだった。これで立憲民主が提出したとんでもない「婚姻平等法案」について、ある程度世の中に知らしめることができたからだ。以下、事の顛末である。
婚姻平等法案の正式名は「民法の一部を改正する法律案」である。国会への提出は昨年3月。過日の衆議院補欠選挙で3戦3勝した勢いに乗って、次の総選挙で立憲民主党が勢力を拡大したりすれば、可決・法制化されかねない。同法案の要旨は3点だ。
➀同性婚の法制化、➁特別養子縁組、その他の養子縁組に関する規定の整理、➂同性婚を認めることに伴い文言を性中立的なものに改正する。たとえば夫婦、夫、妻を「婚姻の当事者」、父母、父、母を「親」などに変える、である。
これまで幾世代も使ってきた言葉、母親や父親、お母さんやお父さんのかわりに「親」「親」にするというのだ。子供が両親を呼ぶ際も「お父さん」「お母さん」でなく「親」「親」になるのだろうか。X上には「おやおや」(どうなるんだ)という反応もあり、私は思わず笑った。それにしても立憲民主の人々はどういうつもりなのか。
5月10日、私は「言論テレビ」のニュース解説コーナーで右の法案を取り上げ、要旨をXに掲げた。140文字の世界で私は以下のように投稿した。
「立憲民主党がとんでもない民法改正法案を提出しました。婚姻平等法案です。性の区別をなくし、父も母も親1、親2とするそうです。家族の在り方が崩壊し、バラバラの個人の集合体のような国になりかねません。こんな日本を誰が望んでいるでしょうか」
泉氏が指摘した。
「櫻井よしこさん、誤った情報拡散は良くありません。立憲民主党の婚姻平等法案には『親1、親2』なんという表現は全く無い。『するそうです』ではないのです。訂正されませんか?」
ユーモア溢れるコメント
たしかに立憲民主の法案には「親1、親2」の表現はない。泉氏の指摘はそのとおりだが、事の本質も世界の現実も踏まえていない論だ。わが国より先を行くフランスでは立憲民主の提唱する婚姻平等法案と同類の法が下院で成立した。そこではお父さん、お母さんが「親1号・親2号」と呼ばれている。つまり、泉氏らの提出した法案は結局そこに行きつくということではないか。
私は立憲民主党が国民の意識と乖離した法案を出したことの問題性を指摘したまでだ。私の親1、親2がいけないというのなら立憲民主は父、母をどう区別するのか。
さて、泉氏の指摘には少なからぬ書き込みがなされた。以下はX上に書き込まれたものの一部である。
「では立憲案ではどう表現されるのかここで記せば良いのに。結局親1、2と似た感じになる予感」
「実務上、『親1、親2』でないならどうするんですか?法律を改正した結果、何が起きるかは眼中に無いという御主張ですか?」
「神が与えた男女の特性、役割を認め、尊重するのが立法の出発点じゃないの?母性も父性も、生物の本能。それを否定し、同じにふるまうよう強いるのは『平等』でもなんでもなく、人間性の否定だろう。人間はロボットや人形じゃないぞ」
「夫婦のあり方や家庭のあり方に法律が入り込み過ぎるのはどうかと思うよ?」
どの意見も事の本質を捉えている。次は、ズバリ切り込んでいる。
「櫻井さんの言ってるのは本質の話しであって、受け取り方は全く間違ってないだろ?違うと言うならきちんとどうするのか言及したら良い」
ユーモア溢れる笑えるコメントもあった。
「明日は『親2』の日ですね」
泉氏の反論は丁度「母の日」の前日だったのだ。
そして泉さん、これはどうだ。
「『G7で同性カップルに法的な保障がないのは、日本だけです。』って、都合のいい時だけこの表現を使う。憲法改正も安全保障も『日本だけ』が沢山あるじゃないですか!社会構造の変革をもたらすものはG7関係ないです!」
まことに正論ではないか。次のポストも立憲民主党案の矛盾を鋭く突いている。
「いい加減に差別と区別を無理やり混同するのはやめて欲しい!大多数の方は父母で良いんですよ。どうしても変えたいなら少数の方用に別記入出来るようにすれば良いでしょう。私は父と呼ばれる事に誇りを感じていますし、妻もまた同じ考えです。まわりの友達も同じことを言っていますよ!」
憲法改正にまったく触れない
同性愛者への差別があってはならないのは当然だ。差別をなくし、禁止することも当然だ。弁護士の髙池勝彦氏は国家基本問題研究所の議論で、同性愛者に対する差別や不都合をどうすべきかが問題であるとして、「差別や不都合をなくしていく具体策を定めていくことがまず大事なのであって、なくすために同性婚を認めるという結論に直結させるのはおかしい」と主張した。
髙池氏はまた、立憲民主党がこの点に関して憲法改正にまったく触れていないのは大問題だと、次のように指摘する。
「憲法24条1項は『婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し』として、婚姻が明らかに異性間において成立するものであることを示しています。『両性』の意味を『同性』も含むなどと解釈することは、憲法判断として甚だしく逸脱するものです。たとえ同性婚を認める立場に立つとしても、憲法改正を求めるべきです。立憲民主党の法案は立憲主義に反しています」
そのとおりであろう。
X上の反応、多くの人々の意見、考え方を聞いてみると、立憲民主党の考える家族の在り方や社会の在り方はおよそ受け入れられていない。なぜ立憲民主党はこのような法案を出してきたのか。そこには究極的に共産主義、マルクス主義の考え方があると思わなければならない。共産主義革命の第一歩は社会の現状を変えることだ。秩序や社会の根本である家族を破壊する。バラバラの個人こそ共産主義イデオロギーでコントロールし易いのではないか。
自民党参議院議員の片山さつき氏は立憲民主が政権を担ったり、勢力拡大で政治に及ぼす力を強めれば日本社会は根底から変えられかねないと大いに懸念する。泉氏は小さな点を指摘するのもよいが婚姻平等法案で日本がどれほど変質させられるか、欧米の事情に学んでそれが日本に合っていることなのかどうかを考えるべきだろう。
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