2026.08.29
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闘うコラム大全集
- 2026.09.03
- 一般公開
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対中露、ウ軍支援で日本の国益実現を
『週刊新潮』 2026年9月3日号
日本ルネッサンス 第1208回
プーチン露大統領は北方領土に上陸してわが国を睥睨し、中国の習近平国家主席はわが国が新型軍国主義に走っていると非難する。
隣国ではあるが、好きにはなれない右の両国は法を無視して力でわが国を追い詰める気だ。7月6日に開始した中露海軍の合同演習「海上連合2026」は、13日まで1週間続いた。海空域での合同偵察、防空・ミサイル防衛、実弾演習などを実施、その後、両国部隊の一部が太平洋上で合同巡航を行なった。中露は南と北から行動を起こし、わが国を太平洋側と日本海側から挟み撃ちにする態勢で訓練をしたのである。
ロシア海軍はミサイル巡洋艦ワリャーグ、フリゲート艦レーズキィ、潜水艦ウファなど4隻が日本海を南下して青島の軍港に集結した。中国艦はミサイル駆逐艦の開封及び鞍山、ミサイルフリゲート艦・蕪湖、その他潜水艦など6隻が参加した。
合同演習後、中露両軍の4隻が沖縄本島と宮古島の宮古海峡を抜け、わが国最南端の領土、沖ノ鳥島周辺の排他的経済水域で実弾演習をした後、北上。択捉島の北東側、択捉海峡を通過し宗谷海峡を抜けて29日にロシア太平洋艦隊の本拠地、ウラジオストクに入った。
プーチン氏は北方領土上陸の前日、サハリンに戻ったワリャーグ艦上で日本などによるアジアでの軍事活動に警戒せよと、演説した。太平洋艦隊のビクトル・リイナ司令官は「敵対国の船舶を臨検し、拘束する準備が整った」と、艦隊の任務拡大を示す報告をプーチン氏に行なった。
中露両国のわが国に対する姿勢は有り体に言って敵対的である。日本の課題は、軍事力においてわが国を圧倒する二つの核大国が台湾有事の際連携して攻勢に出てくるとき、如何にして自国を守るかである。
状況は厳しいが打つ手はある。そのひとつがウクライナとの協力だ。なぜウクライナか。今年春に米軍がドイツで行なった演習「コンバインド・リゾルブ」(統合解決)で、ヘリコプター、ドローンなどの支援を受けた米陸軍の装甲部隊が、敵対勢力を演じたウ軍の無人システム軍第412連隊に完敗したのだ。
「他国が追いつけないレベル」
米軍はウ軍の偵察ドローンに容易に発見され、その後は爆発物を投下するドローンや戦闘中に標的に体当たりするFPV(一人称視点)ドローンによってあっという間に殲滅された。ウ軍の攻撃が非常に速いために演習は呆気なく終わり、継続させるには撃破判定された戦車を再投入しなければならない程だった。
米ウ両軍の演習は2週間続いた。ウ軍は英国、NATO諸国、エストニア、スウェーデンなどとも同様の演習を行ない、同様の結果を得たと、米紙『ウォールストリート・ジャーナル』が報じた。元駐ウクライナ大使の松田邦紀氏が指摘する。
「ウクライナは無人機で戦争革命を起こしたのです。彼らのドローン生産は速くて安い。プリミティブです。この点はイラン、中国、ロシアも同じですが、ウクライナの強味は無人機にAIを組み込み、自律飛行など高度な攻撃を可能にしたことです。また、ロシアと戦ったこの4年余りの間に幾多の試練をくぐり抜け、教訓を得た。それが、他国が追いつけないレベルに彼らが達した理由です」
ドローンの他にもたとえば小型自動車がある。陸上を走り回る無人車は、傷ついて倒れているウ軍の兵士、或いは息絶えている兵士を特定し、収容して陣地に戻ってくる。一方、戦場でロシア兵を見つけると彼らを逃げられない状況に追い込み、銃撃するかと思えばロシア語で語りかける。前線に投入されるロシア兵はドローンですぐに発見され、ほぼ全員が30分以内に殺害されるという。死亡率の高さを知っているロシア兵は戦場から逃げ出したい。彼らは元々ろくな訓練も受けずに戦場に投入された貧しい若者が多い。
そんな彼らにウクライナの無人車が呼びかけるのだ。
「君たちは何のために戦場にいるのか。ここで死ぬのは詰まらない。必ず命は助けてやる。酷い扱いはしない」
そして投降した彼らを引率してウクライナ側に連れていくのだそうだ。「兵隊が死なないように戦争をしているのがウクライナです」と松田氏は語る。
ウクライナの対ロシア戦術はいま、明らかに大きな変化を遂げている。石油精製所や武器製造工場などを個別攻撃するのは同じだが、エネルギー体系全体や国民生活の破壊を戦略として進めているのである。一例を挙げればオンラインショップのような生活必需品の流通システムの破壊に、より多くの力を注入しているのだ。
ロシアの国家機能全体を破壊し、経済の停滞を招くこと、プーチン氏がウクライナ国民に与えているあらゆる苦痛をロシア国民にも味わわせ、停戦への圧力とする戦法をとっているのである。
プーチン氏が一番嫌うこと
ウ軍の目ざましい戦果は今年1月にデジタル変革大臣から国防大臣に抜擢され、7月に解任されたミハイロ・フェドロフ氏の功績だ。氏は戦争が始まるとすぐに全国の学生達にボランティアとして国家防衛に立ち上がるよう呼びかけた。彼らに何の制限も課さず自由にドローンを創らせた。中国、米国を含めて他国の追随を許さないあらゆるタイプの無人技術は若い世代の自由な発想から生み出された。それが現在のウ軍の実力となった。
ウクライナの技術は現在、世界中で引く手数多だ。日本を含めてどの国がウクライナの欲するものを供給してくれるかを彼らは見ている。切望しているのはロシアのミサイル攻撃から国民を守る迎撃ミサイル、パトリオットである。彼らは現在、パトリオット不足で連日のようにロシアのミサイル攻撃を受けて国民が犠牲になっている。国を守るには、ドローンの攻撃能力を高めると共に、攻撃ミサイルを撃ち落とすこと、その両方が重要なのは言うまでもない。
わが国は現在、年間30発のパトリオットを生産しているが、日本国民を守るには1000から2000発のパトリオットが必要だと岩田清文元陸上幕僚長は指摘する。生産ラインを最大限の努力で増やさなければならないゆえんだ。
空母も核も多数の戦闘機も持っていないわが国は、それら兵器の調達を国民全員が考えると共に、ウクライナのドローン技術を伝授してもらうことが重要だ。ウ軍との共同生産体制を確立して、双方の国益が守られる協力体制を構築するのが最善の解決策であろう。
年産30発を飛躍的に増やす中で、その一部をウクライナに供給し、同時進行で絶望的に遅れているわが国のドローン技術を磨くことが国益だ。プーチン氏が一番嫌うことを速やかに実行することで、わが国の気概を示すのがよい。わが国の決意は中国に向けたものともなる。敵愾心をたぎらせる両国に明白な日本の意志を示すときだ。
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