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闘うコラム大全集
- 2026.09.17
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健やかに20歳を迎えられた悠仁さま
『週刊新潮』 2026年9月17日号
日本ルネッサンス 第1210回
秋篠宮家のご長男・悠仁親王殿下が6日、20歳になられた。悠仁さまは皇居で天皇皇后両陛下に挨拶され、その後、上皇上皇后両陛下がいらっしゃる赤坂御用地の仙洞御所にも向かわれたと報じられた。
皇居には半蔵門からお入りになったそうだが、普段このあたりには周辺を走る人々が集っている。各テレビ局の報道は短かったが、雨の中、悠仁さまが車の窓を開けて、待っていた人々に手を振って応えられる様子はしっかり拝見できた。
宮内庁HPに掲載された写真は、面長できっぱりした眉、すずやかな目の悠仁さまを伝えている。その姿は昨年、皇族男子が成年を迎えたことを示す成年式で「加冠の儀」に臨まれた際に見せた「皇族の佇い」そのものである。これを未来の天皇に相応しいお顔立ちというのではないか。
悠仁さまは今上陛下御夫妻とどんな会話を交わしたのだろうか。そして次にお訪ねになった上皇上皇后両陛下には、とりわけ感慨深いものがあるのではないだろうか。なぜなら、悠仁さまご誕生に際して大事なお役割を果たしたのが上皇上皇后両陛下でいらっしゃるからだ。
今から36年前、秋篠宮さまは兄宮より早く結婚なさった。1991年に眞子さまが、続いて94年に佳子さまがお生まれになった。今上陛下(皇太子徳仁親王)の御成婚は93年、待望のお子さま(愛子さま)のご誕生はご成婚から8年後の2001年だった。
皇太子さまにも秋篠宮さまにも男のお子さまがおられない中、小泉純一郎首相は有識者会議を設けた。その会議では皇位継承に関して女性・女系天皇を容認する方向へと、意見のとりまとめが進みつつあった。
その1年前、大事件が起きていた。03年12月11日、湯浅利夫宮内庁長官が定例会見でこう語ったのだ。
「秋篠宮さまのお考えはあると思うが、皇室の繁栄を考えると、三人目を強く希望したい。姉妹との年齢差を考えるとできるだけ早い時期に、と思う」
宮内庁長官が、秋篠宮さま御夫妻にもうひとりお子さまをつくってほしいと、公式に要請したのである。長官は天皇皇后のお考えを代弁する立場だ。湯浅氏の言葉は間違いなく天皇皇后両陛下のお気持ちだった。
奇跡のような展開
そして実は、私の取材では、皇后美智子さまご自身が秋篠宮妃殿下の紀子さまに、「もうひとり、お子を」と直接お話しなさっていたという。
皇后のお言葉を受けて紀子さまは当時、ある人物に相談なさった。電話で約30分間、揺れるお気持ちを以下のように語られたという。
これまで自分は皇后美智子さまのお言葉のどれもみな、大切に守ってきた。しかし30代後半の自分が、果たして美智子さまのご意向に応えられるか不安だ、という内容だった。
また、およそどの母親もそうであるように、紀子さまは二人の内親王に深い愛情を抱いており、当時の穏やかな家庭生活に満足しておられた。第三子のお話は本当に予想外のことだったと思われる。
思いは揺れたが、紀子さまはそれが天皇皇后両陛下のご要望であると受けとめ、決心なさった。但し秋篠宮さま共々、第三子をもうけるにしても、生まれてくるまで、性別は知りたくない、決して自分達に知らせてほしくないと要望なさったそうだ。
ここから後のことは全て、奇跡のような展開だった。紀子さまご懐妊の速報がなされたのは06年2月7日である。首相秘書官が国会の議場にいた小泉首相に一枚のメモを渡した映像を多くの人々が記憶していることだろう。
私の記憶では、そのとき小泉氏は一瞬天を仰いだ。そしてこの瞬間に、小泉政権下で進行中だった有識者会議の意見とりまとめは全て中止された。あと1週間、ご懐妊の報が遅れていれば、わが国は皇室典範改正で女性・女系天皇の道に踏みこんでいた可能性がある。
紀子さまご懐妊。無論、この時点では誰も皇室に生まれてくるみどり児の性別を知らない。だが、9月6日、紀子さまは無事悠仁さまを出産なさった。男系男子。皇位継承者の誕生だった。紀子さま39歳の快挙に日本中が喜びと祝福で沸き立った。悠仁さまの誕生こそ、わが国を見守ってきた神々のもたらした奇跡ではないかと、私は考えたものだ。
このようにしてお生まれになった悠仁さまが早くも20歳である。上皇陛下と上皇后陛下は、恐らく誰よりも深い安堵の中におられるのではないだろうか。なんといっても、悠仁さまご誕生は上皇上皇后両陛下の強いご要望が発端なのだから。
「物事を深く見ている方」
現在の皇室には明るい雰囲気が漂っている。愛子内親王と悠仁親王がいらっしゃる。愛子さまは開いたばかりの花のような美しさだ。落ち着いた挙措、穏やかな笑顔はまぶしい程だ。愛子さまと悠仁さまは、各々異なる学びを重ねていらっしゃるが、お二人の歌会始のお歌がすばらしい。
今年、愛子さまはこう詠まれた。
日本語を 学ぶラオスの 子どもらの 明るき声は 教室に満つ
なんと素直な表現か。親善訪問をなさった先で、ラオスの子どもたちの親日の思いと将来の夢を感受性豊かに受けとめた様子が伝わってくる。
悠仁さまはこう詠まれた。
薄明かり 黄昏とんぼは 橋のうへ 青くつきりと 俊敏に飛ぶ
愛子さまがゆったりと受けとめているとしたら、悠仁さまは躍動している。悠仁さまの歌にはリズムがある。活々とした動きだ。三十一文字から鮮やかに状況が浮かんでくる。まるで一枚の絵を見ているようだ。心の中にスーッと入ってきて共感を呼び起こす。
悠仁さまはトンボがお好きで、幼い頃から標本を作ったりしてきた。数多くのトンボの中でもここに登場する「青くつきり」の主人公は濃いコバルトブルーの大きな複眼をもったマルタンヤンマなのだ。わくわく感をもたらす歌である。
悠仁さまについて、秋篠宮家のお子さま三人を取り上げた愛育病院元院長の中林正雄氏が語る。
「秋篠宮家の三人のお子さまの成長の過程を、私は折に触れて拝見する機会をいただきました。小さな弟宮の面倒を二人の姉宮はとてもよくみていました。眞子さんは何事もサバっとしておられた。佳子さまは細やかなところまで気をつかって悠仁さまを保護するような感じでした。そして、悠仁さまは細い体型で華奢に見えますがとても運動能力が高いのです。何よりも、幼い頃から物事を深く見ている方です。語る言葉がスッと奥深くに入ってくる感じです」
悠仁さまの健やかな成長を心から願いたい。そしてわが国は、悠仁さま、愛子さまを含めた皇族の方々と共に、よき伝統を伝え続けていく国でありたいものだ。
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