元気になるメルマガ

  • 2013.03.25
  • 一般公開

沖縄・与那国島が危い!
    自衛隊に来てほしかった与那国島

 世の中で何がどうなっているのか、わかりにくいことは多々あります。
沖縄問題に関してはとりわけその感を強くします。今日はその中のひと
つ、自衛隊誘致を巡って大揺れに揺れる与那国島(よなぐにじま)のこ
とをとり上げます。

 与那国島は日本国の最西端にある、西の国境の島です。沖縄本島が鹿
児島から約500キロメートル、与那国島はそこからさらに約500キ
ロメートルです。

 かつては人口が1万人を超えたこともありますが、現在は1600人
余りです。2009年8月2日に、外間守吉(ほかましゅきち)氏が町
長に再選されたとき、与那国島は全国的に注目されました。なぜなら外
間氏が陸上自衛隊の誘致を、選挙前の6月30日に浜田靖一防衛大臣(
当時、以下同)に陳情し、浜田氏がそれに応える形で7月8日、現地を
視察していたからです。与那国町議会は2008年9月、自衛隊配備を
要請する決議を賛成4、反対1で可決しており、町を挙げて自衛隊誘致
を望んでいました。外間町長の陳情はそのような町民の意思と町議会決
議を踏まえたものでした。

 沖縄本島以西以南に、陸上自衛隊が駐屯する島はゼロです。沖縄のこ
の広い海域が安全保障上の空白となっているのが現状です。現在、与那
国島を守っているのは、島の駐在所のおまわりさん2名と拳銃2丁、計
10発の銃弾だけだと、島民の間では語られています。反自衛隊の気風
が色濃い沖縄で、陸上自衛隊誘致の運動が起きた背景には、こうした脆
弱この上ない国防の実態がありました。

 当時の取材を、私は2009年10月1日号の「週刊新潮」で伝えま
した。興味のある方は私の過去ログからご覧下さい。その当時、外間氏
はこう語っています。

 「与那国も御多分に洩れず、人口減と景気低迷に苦しんでいます。政
府がもっと目に見える形で我々を守ってくれる体制がほしい。そのため
には、自衛隊に駐屯してもらうのが最善だと考えるに至りました」

 「島の法務局も気象観測所も、入国管理事務所もみな、合理化され、
閉鎖されました。公的機関が消えた一方で、きちんとした病院も高校も
ありません。『15の旅立ち』という言葉を御存知ですか。高校教育を
石垣島など他の島で受けるために15で島を出るのです。多くの若者が
そこから自立し、もう戻ってきません。

 この人口減と経済的低迷を乗り越えるには、元気のよい若者たちに島
に来てもらうしかない。最も有効な方法が自衛隊誘致だと考えたのです」

 このとき外間町長は自衛隊が少なくとも当初、100人は来てほしい
、出来たら家族も一緒に来てほしい、そうすれば地元の子供も外からの
新しい友達に会えて、勉学にも、世の中を見る目にも、よい刺激になる
という抱負も語りました。言葉の端々に、本当に自衛隊に来てほしいの
だという気持ちがあふれていた印象が残っています。


中国の脅威に備えるためにも自衛隊に来てほしい

 自衛隊誘致の動機は他にもあります。それは中国の脅威の高まりです
。そのときの取材で与那国島防衛協会会長の金城信浩氏が、島の安全を
担保するためにも、是非自衛隊に来てほしいと次のように語りました。

 「中国の調査船や原子力潜水艦が与那国島や八重山諸島近海に現れ平
気で領海侵犯をするようになりました。中国は与那国の至近距離にある
尖閣諸島を、自国領だと主張し続け、与那国島から100キロ余りしか
離れていない台湾も、尖閣領有に意欲的な発言をするようになりました」

 この取材から約5年がすぎたいま、中国の脅威は当時とは比較になら
ない程高まっています。尖閣諸島の海にも空にも中国の公船、軍艦、戦
闘機がほぼ毎日のように侵入しています。尖閣諸島及び沖縄の守りを一
日も早く固めなければならず、沖縄の海を国防上の空白地域として放置
し続けることは、まさに自ら危機を招くことです。

 外間町長に話を戻しましょう。約3年前、自民党が政権の座から降り
て民主党政権が誕生すると、外間町長は今度は民主党政権の北澤俊美防
衛大臣を訪れ、与那国島への自衛隊誘致を再び要請しました。このとき
、外間町長は久米島町長の平良朝幸氏と共に北澤大臣を訪れています。
これが2010年1月12日のことです。

 この会談で、沖縄の建前と本音が見えてくる会話がありました。それ
は久米島町が所管している鳥島に関しての会話です。鳥島は在日米軍が
射爆場として使用していますが、久米島町も沖縄県もその島の返還を求
め続けています。

 ところが、北澤防衛相との会談では、返還を求めているはずの平良町
長が、国に協力する、久米島のためにこの島を使うことを許容するから
支援をしてほしいと要請したというのです。有り体にいえば表向きは返
還運動をするけれど、その犠牲に見合う支援が得られれば協力してもよ
いということでしょう。

 ちなみにこの情報について、平良町長に直接、真偽を確かめました。
町長は断じてそのような要請はしていないと強い調子で否定しました。
北澤氏は、その件については記憶にないとのことでした。

 しかし、ここで思い出さざるを得ないのは沖縄の基地返還運動の特異
な性格です。米軍基地返還を沖縄側が強く要求し続けてきたのは周知の
とおりです。しかし、いざ基地を返還するという話になると往々にして
、返還に反対する意見が出てきます。沖縄の米軍用地については全国平
均から言っても非常に高い地代が支払われていて、貸した土地を返還さ
れると困るという地主が少なからず存在するという事情と関係していま
す。

 この点についてご関心があり、さらに詳しく知りたいという方は『産
経新聞』沖縄支局長の宮本雅史氏が書いた「報道されない沖縄」(角川
学芸出版)を参考にしていただければと思います。

 さて、平良町長と共に北澤大臣を訪れた与那国島の外間町長は前述の
ように北澤大臣に与那国島への自衛隊誘致を陳情しました。北澤氏はこ
うした陳情が行われたあと、2010年3月26日に与那国島を訪れて
います。そのときのことについて北澤氏が次のような話をしてくれまし
た。

 「与那国島に行って役場で町長と会って話したときは大歓迎されまし
た。一日も早く自衛隊に来てほしいということだったのです。反対派は
5~6人空港にいたでしょうか。それを除けば空港から町役場までの街
道筋に、『歓迎!自衛隊の早期誘致を!』というプラカードをもった人
々が沢山いました」

 北澤氏はこうも述べました。

 「火箱陸幕長も同行して、役場で用地の選定についても町側と話し合
い具体的に決めました」


突如変わった与那国島

 ここまで順調に進んでいたにも拘らず、与那国町はいま他ならぬ自分
たちが推進してきた自衛隊誘致を退けようとしているのです。これまで
の話し合いでは防衛省が部隊用地として同島南牧場20ヘクタールを借
り受けることになっていました。賃料について防衛省側が年500万円
を提示、これに対し、町側は年1200万円の借地料を要望、加えて突
然、迷惑料として10億円を要求し始めました。防衛省は借地料の上乗
せについては考え得るとしていますが、「迷惑料」10億円には応じら
れないとの立場です。

 防衛省でなくとも考えてしまいます。なぜ迷惑料なのか、と。前述の
ように、外間町長は自民、民主両政府に対して、自衛隊の誘致を要請し
てきた人物です。それが迷惑料が必要だと、いつからどういう理由で考
え始めたのでしょうか。

 この件について外間町長の意見を聞きたいと思い、複数回、町長の携
帯電話、及び町役場に連絡しました。町役場には伝言も残しましたが、
このメルマガを書いている現在まで外間町長からの返事はありません。

 従って、なぜ、こんなことになるのか、御本人の気持ちはわかりませ
んが、その気持ちを推測する手掛かりになるのが仲新城(なかしんじよ
う)誠さんの書いた『国境の島の「反日」教科書キャンペーン』(産経
新聞出版)です。


特異な沖縄の心理

 この本は実は沖縄県八重山諸島で起きた教科書問題を扱ったものです
。八重山教科書事件とは、2012年4月から使用される中学校の公民
教科書に、従来の自虐的な教科書を正そうとする「日本教育再生機構」
のメンバーらが執筆した「育鵬社版」が選ばれたことをめぐって、反対
派、賛成派が激しい攻防を繰り広げた事件です。結論からいえば、石垣
市、竹富町、与那国町の3自治体で構成する八重山地方で、中学校公民
教科書に育鵬社の教科書が選ばれたにも拘らず、竹富町だけが東京書籍
の教科書を使い続けるという違法状態が現在も続いています。

 著者の仲新城さんはこの石垣市、竹富町、与那国で主として読まれて
いる「八重山日報」の編集長です。教科書事件をつぶさに取材した人物
でもあります。氏はこう書いています。

 教科書を論ずる場は、「育鵬社版の教科書を何としても阻止するとい
う反対派の常軌を逸した熱気に満ちていた」「育鵬社版採択の反対派の
顔ぶれを見ると、『反自衛隊』を訴える人たちと同じなのである」

 八重山日報のことも少し紹介しておきましょう。沖縄の大新聞である
「沖縄タイムス」(発行部数18万5000)や「琉球新報」(同17
万2000)が「ひとたび米軍や自衛隊に矛を向けるとき、常軌を逸し
た憎しみのエネルギーに変身する」沖縄の「反戦平和教育」の守護神で
あるかのような編集姿勢を維持しているのとは異なり、「八重山日報」
はまともに物事を見詰めようと努力する良質な新聞です。


自衛隊配備と教科書の関係

 その編集長の仲新城氏は、「八重山で教科書問題が過熱した背景の一
つに、与那国町で進む自衛隊配備計画がある」と喝破しています。自衛
隊配備反対派は、自衛隊に好意的な記述がある自由社、育鵬社版の採択
を与那国島への「自衛隊配備の地ならしだと猛反発した」というわけで
す。

 では、自衛隊配備反対派が憎む育鵬社や自由社の教科書は尖閣諸島や
自衛隊についてどんなふうに記述しているのでしょうか。まず尖閣諸島
については次の点をきっちりおさえています。仲新城さんの本から引用
します。

 「(1)日本の領土である、(2)1970年代、周辺海域で有望な
油田が確認されて以来、中国が自国の領土だと主張し始めた」

 ところが、竹富島が使っている東京書籍の教科書では尖閣諸島のこと
は殆ど触れられていません。

 自衛隊についてはどうでしょうか。

 「日本の防衛には不可欠な存在であり、また災害時の救助活動などで
も国民から大きく期待されています」「国際社会の一員として公共の安
全と秩序の維持に貢献しています」(育鵬社)

 「国民の生命と財産を守る活動に挺身し、これに多くの国民が共感と
信頼を寄せています」「自衛隊の発足は東西冷戦が厳しさを増すなか、
わが国と東アジアの平和と安全を確保するうえで大きな意義をもちまし
た」(自由社)

 対照的に東京書籍はこう書いています。

 「日本国憲法は『戦力』の不保持を求めていますが、日本は国を防衛
するために自衛隊を持っています」「平和と安全を守るためであっても
、武器を持たないというのが日本国憲法の立場ではなかったのかという
意見もあります」「自衛隊の任務の拡大は、世界平和と軍縮を率先して
うったえるべき日本の立場にふさわしくないという声もあります」

 こんなふうに自衛隊を貶める人々は、尖閣諸島で中国が日本の主権侵
害の動きに出ていることに目をつぶり、日本が国家として主権を守るた
めに海上保安庁や自衛隊の力を強めようとすることを否定するのです。
尖閣諸島のことは騒がないのがよいと考えるのです。この人々が今や、
尖閣問題は主権問題ではなく歴史問題だと主張し始めているのですが、
その主張は中国や韓国のそれとピッタリ一致します。

 外間町長の奇々怪々の動きの背景は依然としてよく解りませんが、少
なくとも、この種の、沖縄に顕著な反日本、反軍事基地、反米の考えが
あるのではないでしょうか。


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