元気になるメルマガ

  • 2013.08.30
  • 一般公開

「子どもたちを元気にするために」
   〜母の作ってくれたおみおつけ〜

 過日、読売新聞が国立社会保障・人口問題研究所の阿部彩・社会保障応用分析研究部長の調査を報じていました。
 2001年に生まれた子ども約5万人を対象にした7年間の調査によると、所得の低い家庭の子どもは入院する割合が高く、病気からの回復力が低いなど、所得による健康格差があるというのです。
 子どものいる家庭を貧困層(4人家族で年間世帯所得250万円未満)と非貧困層に分け、毎年の入院の有無、ぜんそくやアトピー性皮膚炎など6つの慢性疾患の通院の有無を比較すると、2歳時点で貧困層は非貧困層より1.3倍も入院する危険性が高いことが判明しました。
 また、3歳時に入院経験のある子どもが、6歳時に入院する確率は所得が低いほど高く、過去の病気の影響をその後も引きずっていることも示唆されました。
 貧しい家庭の親は、収入を増やすために一所懸命働かなければならず、そのために子どもの健康状態に十分な注意を注ぐ余力がなかったり、忙しさの余り、食事にも十分気を配ることができなくなっているのが原因のひとつだと分析されています。
 子どもたちにそんな可哀相な思いをさせるのは、本当にしのび難いことです。どの子もみんな元気に育ち、自分の納得する人生を歩んでほしい。ひとりひとりの子どもが健康で人生を完うさせることのできる社会を作って初めて、日本全体もよくなります。貧しい家庭の子どもたちの健康は、他人事(ひとごと)ではなく、日本人全員に関わりのある問題です。


# 健康維持、私の秘密

 そこで今日は長年私の健康維持の軸になっている“秘密”をご紹介します。特別の朝ご飯です。これはまず第一に、とても経済的です。第二にちょっと1回頑張ればその後数日間は料理の手間がかなり省けます。おまけに美味しくて、そのうえもうひとつ、子どもたちの健康にも大いに貢献するという、なんとも素晴らしい朝ご飯です。
 30代半ばのことでした。日本テレビ系列で夜のニュース番組『きょうの出来事』のキャスターを務めていた当時、とても体調が悪かった時期がありました。番組は夜11時に始まります。普通の人が一日働いて帰宅し、お夕飯もすませて一日の汗をお湯で流し、リラックスして就寝しようかという時間帯に、現在進行中のニュースを秒単位の区切りでお伝えするのがニュースキャスターとしての仕事でした。
 気力、体力のピークを夜中に持っていき、そこで一定時間張り詰めた仕事をするというスケジュール自体、人間の暮らしとしては異常です。
 しかしそんな環境で頑張っている内に、どれほど長く睡眠をとっても体が重いような、パッと目が醒めてくれないようになりました。気力を奮い立たせる努力をすれば出来ないことではないのですが、逆に言えば、いつも気力を奮い立たせていないと、体がついていかないのです。どう考えても本調子ではありません。
 母譲りの健康体だったのに、この疲労感は何だろうと考える内に、ハッと思いつきました。食事が不規則になっていたのです。多忙なのと疲れているのとが重なって、簡単な食事で済ませていた記憶があります。たとえば朝は野菜ジュースやコーヒーで胡麻化し、お昼は外食、夕食も外食といったふうです。


# おなかが心底喜んだ食事

 そんなときに、当時麹町にあった日本テレビの少し先にあるヘルシー館という小さな店で食事をしました。そこの食事を一口、二口といただいて、「お母さんの味だ!」と思いました。今でもそのときの私の体の反応を昨日のことのように思い出すことができます。私のおなかが「あー、美味しい。なんて優しい味だろう」と言ったのです。
 自分の体との会話が、本当にリアルに想い出されます。私の胃も腸も、ヘルシー館の食事を心底、喜んでいるのがわかりました。それは、今まで忙しい仕事の日々に口に運んでいたどんなレストランのお料理よりも、どんなスープよりも私の体に合っていました。
 私は店のオーナーの伊牟田さんに尋ねました。どのようにしてこのお料理を作っているのですか、と。彼女の語ったことは驚きそのものでした。
「昔、母や祖母が作ってくれた日本の家庭料理を基本にしています」というのです。
 極力油を使わない、蛋白質は出来るだけ植物性蛋白質にする、お米は玄米を使うなどのポイントはありますが、一番大事なことは、私たちが幼い頃、母に作ってもらった日本の家庭料理を基本にするということでしょう。
 彼女はこうも語りました。
「朝ご飯を一番大事にして下さいね。そこさえしっかりしておけば、お昼も夜も、食事が少々不完全でも大丈夫ですよ」
 勿論、小さな子どもや中学生、高校生など、育ち盛りの人たちが軽いお昼や夕食で足りるとは思いませんが、30代半ばの私にはそれで十分ということなのでした。


# 母の作ったおみおつけ

 嬉しいことを聞きました。けれど朝ご飯をしっかり取るにしても、どんな風にしたらヘルシー館で出してくれるような料理が作れるのかわかりませんでした。お店で色々と出されたものは皆、手がこんでいて作るのに時間がかかるように見えましたし、時間や手間がかかるものは到底、忙しく仕事をする毎日では、作りきれないと思いました。
 そこで振りかえりました。小学生のとき、または中学生のとき、母がどんな食事を出してくれていたか、思い出していきました。母の料理はいつも愛情がこもっていました。体によい食事を美味しく楽しく作ってくれましたが、とりわけ記憶に残っているのはあつあつのおみおつけでした。具がたくさん入っていて、それだけで栄養のバランスもとれて、おなかが満足するようなおつゆでした。
 私は一人暮らしの中で、長年このおみおつけを忘れていましたが、伊牟田さんのお店の献立にも具沢山のおみおつけが大事な一品としてついていました。
 そこで私は一念発起したのです。具沢山のおみおつけを朝ごはんの中心に据えよう、と。伊牟田さんがお出汁は干し椎茸と昆布と鰹節といりこですよ、と念押しをしたのを思い出しながら作りました。


# 一番大きな鍋で作るおみおつけ

 まず、出汁を取ります。このとき、たくさんすぎるほどの出汁を取るのがコツです。たとえ余っても他のお料理にいくらでも使えますから。
 家の中の一番大きな鍋に、半分程水を入れて、干し椎茸、いりこ、昆布を入れて火を入れます。煮立ってきたら、多目の鰹節を入れてすぐ火を止めます。粗熱がとれていくと同時に鰹節が下に沈み始めます。
 さてその間に季節の根菜類を中心に、7種類の具を用意します。7種類というのは私が勝手に決めたものです。8種類でも10種類でも構いません。要は、沢山の種類の具を入れるということです。できたら赤や緑や黄などの色が、混じっているのがよいと思います。
 どんな具がわが家の常連か、少し書いてみましょう。
 まず、欠かせないのが色鮮やかな人参です。南瓜もホクホクして美味しく、私の好物のひとつです。大根もエースです。その他、カブ、里芋、薩摩芋、八頭、じゃが芋、冬瓜、ズッキーニ、茄子、ごぼうなど根菜類をはじめ、どんな野菜でもよいでしょう。
 きのこ類も入れましょう。えのき茸、舞茸、しめじ、なめこ、これまたなんでもよいのです。
 なめこには独特のぬめりがありますから、そのまま入れてもよいですし、ぬめりを流水でとってからでもよいと思います。
 そして大事なことがあります。出汁をつくるのに使った干し椎茸は柔らかくなったところを適当な大きさに切っておみおつけの具にすることです。昆布も同様です。


# 季節の贈りものを活かす

 こうしたものの他に、季節性の高いもの、たとえば蕗の薹、栗、銀杏、むかごなどもそのときどき、おみおつけに入れると、不思議ですね、それだけでとても幸せな気分になります。
 さて、具に欠かせないものがあります。コンニャクとお豆腐です。コンニャクは地味ですが、歯ごたえが好きです。お豆腐は何にでも使えます。
 さらに青味があると嬉しいですね。サッと湯がいたほうれん草、菜の花、サヤエンドウ、大根の葉、小ネギなど季節によっていろいろ使えます。海草の若布もいいですね。お椀によそったときに青味があるのとないのとでは、ガラリと風情が変わります。青味が加わることで、とびきりお洒落な美しいお椀の一品になります。
 さあ、こうして具材を思い浮かべながら、ご自分の冷蔵庫の中を探してみましょう。その日手元にあるものの中から少なくとも7つ用意して、それぞれを大きめの一口大に切ります。私は乱切りにするのが癖になっています。
 具を用意している内に出汁も上手に出来上がってきているはずです。出汁の中の椎茸と昆布の扱いはすでに書きました。そのあといりこを取り出しましょう。これは小皿に盛ってお醤油を1滴かけて、ビールのつまみにしましょう。育ち盛りの子どもに食べさせれば、骨が丈夫になります。
 最後に濾して鰹節を除けば立派な出汁が出来上がります。


# いよいよ具沢山のおつゆを作る

 この出汁に人参やゴボウなど、煮えるのに時間がかかるものから順に入れましょう。コンニャクも大根もじゃが芋も入れます。きのこ類も入れます。南瓜はくずれ易いので後にします。この間、アクをとります。アクが出なくなったら、南瓜を入れお豆腐を入れてひと煮立ちさせて、すぐ火をとめます。
 この時点で大根や人参はまだ半煮えですがそれでよいのです。ここで、その日に食べる分だけ小さなお鍋に取り分けます。そこでもうひと煮立ちさせると、はじめて全ての野菜に程よく火が入ります。この段階で御自分の好きな味を作るのです。
 私は麹、麦などの味噌に加えて、赤味噌、白味噌など幾種類か準備していて、適当にまぜて使います。味噌味でない方がよいという気分のときもあります。そのときは醤油味にしたり、さらに胡麻油を少し加えたりします。育ち盛りの子どもさんがいれば、豚肉を加えてけんちん汁風にしてもよいかもしれませんね。鰯団子を入れてネギを刻み入れ、一味唐辛子を振っても美味しいと思います。
 こうして味を整えたあと、仕上げに青味を散らせば出来上がりです。大きなお椀に盛って出してみましょう。皆、喜ぶこと受け合いです。このおみおつけをお客さんや友人に振る舞ってきましたが、本当に美味しいと多くの人が感激して下さいました。男性の中にはお替わりした人も少なからずいます。子どもはもっと喜んで驚くほど食べてくれます。この碗にご飯を添えて、納豆を加えれば、もう完璧中の完璧です!


# 幸せの一碗

 たった一品(しな)、愛情こもった具沢山のおつゆで、朝ご飯が心豊かな幸せの時を作ってくれます。本当に嬉しいですね。
 さて残った大量の、まだ味つけをしていない具沢山のおつゆです。これは大きなタッパーなどに移して冷蔵庫にしまいます。翌朝はそこからその日の分量を取りわけて同じように作るのですから簡単です。こうして週一度程、力を入れて作れば、そのあとの数日を楽に過ごすことができます。
 30代の私はこのようにして、健康を取り戻しました。大きなお椀の具沢山のおみおつけが私の元気の素になって、今日に至ります。
 忙しく働いている皆さん、子育てと仕事に頑張っているお母さん方、そしてお父さん方、健康を保ちたいと考えている方々全員にこのメニューがなんらかの参考になればとても嬉しく思います。


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