2025.05.10NEW!
【櫻LIVE】第655回:有元隆志・産経新聞特別記者/阿比留瑠比・産経新聞論説委員兼政治部編集委員との対談動画を公開しました
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- 2012.11.23
- 一般公開
ダライ・ラマ法王と共に未来を創る
ダライ・ラマ法王14世は昨年8月に、政治から完全に引退しました。中国の過酷な弾圧の下でチベット人とチベット人の運命を双肩に担うのは、現在44歳のロブサン・センゲ首相です。
法王が政治から引退する――昨年のこの重要決定は、中国にとって歯ぎしりする程口惜しいことだったでしょう。なぜなら、中国はチベットの政治的宗教的指導者としての法王が亡くなるのを待っていたからです。人間は皆、生まれて生きて死んでいきます。法王はいま七六歳、その法王さえいなくなれば、中国共産党の支配に激しく抵抗しているチベット人たちはまとまりがつかなくなり、中国は思うがままにチベット人に支配を及ぼすことが出来ると、中国共産党は考えている節があります。
中国の手法はどの民族、どの国に対しても、まず指導層に狙いを定め、指導層を取り込むか、或いは殺害するというものです。優れたリーダーさえ取り除けばリーダーを失った民を騙し、手なづけ、滅すことは容易だと考え、そのように実行してきたのです。
ダライ・ラマ法王は、自分の子供世代に当たる若い指導者にチベットの政治を任せることで、次の世代までチベット人が民族としてのまとまりを維持し、命運を保っていけるようにと考えたわけです。
政治から手を引いてチベット仏教の教えに専念する法王の発言は、驚くほど平和志向です。チベットを弾圧し、民族浄化というべき酷い消滅作戦を展開してきた中国共産党に対してさえも、敵対的に構えるのではなく、中国の善い面を見て寛容の精神で対処するようにと諭します。
理想を求め、その理想に忠実たろうとする法王の発言は、法王以下すべてのチベット人が想像を超える凄まじい迫害を体験した上でのものであることを思えば、その言葉の重さに粛然とした思いを抱かざるを得ません。
チベット人がチベット人の願いに基づいて、チベット仏教徒らしく生きることの出来る世界の構築を目指していきたいものです。
チベット人がチベット人らしく生きられる世界を創ることが、アジアに民主主義を定着させることです。アジアの大国、日本はその目標に向かって大きな力を発揮出来るのですし、またそうする責任があると思います。
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