闘うコラム大全集

  • 2016.06.25
  • 一般公開

中国海軍の軍艦が領海侵犯 海上保安庁、自衛隊の増強が急務

『週刊ダイヤモンド』 2016年6月25日号

新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1138


中国が挑発的かつ活発に動いている。6月15日午前3時半ごろ、中国海軍の情報収集艦1隻が鹿児島県口永良部(くちのえらぶ)島西方のわが国領海に侵入した。中国海軍の軍艦による領海侵犯は12年ぶり、2度目である。

 

さらに同日午後、沖縄県の尖閣諸島周辺の領海に中国海警局の公船3隻が侵入した。

 

その前の9日未明には尖閣諸島の大正島と久場島の間の接続水域に中国の軍艦が侵入した。大正島は通常私たちが尖閣諸島として報じる魚釣島から約110キロメートル北東に位置する。

 

鹿児島沖から沖縄沖まで、わが国の領海は中国の灰色艦(軍艦)と白色艦(公船)に侵犯されているのであり、わが国の防衛は新たな危機的局面に入ったというべきだろう。

 

一連の事案をどう分析すべきか。政府筋はまず、尖閣諸島海域での公船による領海侵犯は「通常の事象」だと語る。彼らは月3回、尖閣諸島の接続水域および領海を侵犯し続けて今日に至る。日本政府は抗議を続けながらも、「常態化」したこの状況がこれ以上悪化しないよう、監視を続けるだけの情けない現状である。

 

次に大正島・久場島沖での中国軍艦の接続水域侵入について、中国側は彼らが自国領だと主張する海域にロシアおよび日本の軍艦が入った、従って監視活動を展開したとの立場を取る。

 

しかし、その理屈には無理がある。ロシア軍艦はアジアおよびアフリカ沖への往復に日本のこの海域をこれまで複数回通過した。彼らにとって同海域通過が最短距離だからだ。海上自衛隊はその都度ロシア軍艦を追尾、監視した。だが日本政府はロシア軍の動きを、日本国領海を中国領だと主張する中国軍の動きとは区別して捉えている。

 

そもそも尖閣の海の北方には中国の軍艦二隻が常に控えている。軍艦常駐は旧民主党野田佳彦政権の終盤に始まった。中国軍艦は尖閣諸島の魚釣島から約100~120キロメートルの距離にいるが、海警局の公船が引き揚げるときに南下し尖閣諸島に接近することもあり、今では尖閣諸島までの距離を70キロメートル程度にまで縮めているという。

 

このように、中国はこれまでロシア軍艦が同海域を通過し海自艦が追尾するのを幾度も見てきた。しかし、これまでは、彼らはこの海域に入ることはなかった。今回は入った。なぜか。

 

中国の意図は現時点では明確には分からない。同じく鹿児島沖の口永良部島海域への領海侵入も、中国の意図を断じることは難しい。

 

中国は領海通過は国連海洋法条約が規定する航行の自由の原則に基づくもので問題はないと主張し、「騒ぎ立てる日本の側に意図があるのではないか」と、開き直る。

 

しかし、国連海洋法が定める領海を含めた航行の自由は他国の領海や領土を奪う意思のないことが大前提だ。友好的であって初めて無害航行が許される。わが国だけでなくアジア諸国の領土や海を自国領だと主張し、軍事拠点化する中国の行動を、警戒もせずに見過ごすなど国家としてあり得ない。日本の抗議は当然過ぎるほど当然である。

 

大正島・久場島のケース、口永良部島のケース、尖閣諸島のケース、接続水域への軍艦の侵入、領海への軍艦の侵入、領海への公船による常習的侵入と、状況は異なるが、明らかなのは中国の軍艦が前面に出てきたことだ。

 

わが国の海はすでに中国の公船が好き放題に領海侵犯を繰り返す海となってしまった。白色艦の侵入が常態化しているのだ。それが今、軍艦に取って代わられようとしている。灰色艦による侵犯を常態化させては終わりである。そのような状況を防ぐには、私たちは海上保安庁、自衛隊の力を人員、装備面から充実させなければならない。その基本としての法体系の整備、その根本である憲法改正が必要だ。

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