- 2021.01.14
- 一般公開
他人事ではない中国の「見えない手」
『週刊新潮』 2021年1月14日号日本ルネッサンス 第933回米国の歴代大統領は退任後すぐに回顧録を出すのが習性となっている。読者は世界中に存在し、最初からミリオンセラーが約束されている。出版契約料が日本の標準では考えられないほど高額なのも当然かもしれない。たとえばオバマ前大統領夫妻は6500万ドル(約68億円)を得た。私はこの余りの高額に驚きを超えて笑ってしまったが、それでも各大統領の回顧録は読んでみるのがよい。歴代米大統領の中で中国の工作を最も深刻な形で受けていた一人は、間違いなく民主党のクリントン氏であろう。ヒラリー氏があれ程頑張っても初の女性大統領になれなかった原因のひとつに、中国マネーの影響があるのではないか。クリントン夫妻の中国マネーにまみれたイメージが、ヒラリー氏の道を閉ざした可能性は高いだろう。その中国の魔の手が民主党だけでなく共和党にものびていたという衝撃的な事実を『見えない手』(飛鳥新社)が見事に報じた。著者はクライブ・ハミルトン氏とマレイケ・オールバーグ氏だ。ハミルトン氏は豪州への中国の侵略を詳述した『目に見えぬ侵略』の著者である。...