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Vol.144 一般公開

EU分裂の危機はどれほどリアルか?

ギリシャ危機を虎視眈々と狙う中国、ロシア

2015.07.24 61分

 EU加盟28か国のうち、ユーロを使用している国はギリシャを含む19か国です。通貨が統一されたため、ECB(ヨーロッパ中央銀行)が設立されて、ユーロ圏内では金融政策が一元化されました。しかし財政政策は各国がバラバラです。欧州統一という壮大な実験のために現実問題が棚上げされたままです。そのため起こったギリシャ危機もEUなどの支援体制が組まれ一息ついただけで、欧州分裂の危機はリアル度を増しています。ゲストの本田悦朗内閣官房参与は「国家主権、伝統文化、国民意識を残し統合するのは無理がある。民族主義、ナショナリズムが高揚すればEUへの乖離論が高まり、草の根でEUが欧州のためになるかという疑問が高まってきている」と分析し、解決策として方向が異なる2つの方法を示しました。櫻井キャスターは「EUが問題を抱え始め、ギリシャ危機が起こり、米国の力が落ちれば、中国やロシアがじわじわ浸潤してくるのではないか」と問いますと、本田参与は「ロシアは国内経済が悪化しており、その余裕がないが、中国はAIIBのシルクロード計画の一環として最大の港ピレウス港を狙い、支援を高めてくる可能性」を指摘しました。

 対談の後半は、ギリシャ危機と並びもう一つのリスクオフとなる「中国バブルの崩壊」です。矢継ぎ早の対策で上海株の暴落に歯止めをかけた習近平政権の株価規制とは何か、人民元をSDRの構成通貨とし、キーカレンシーの一翼を担う中国の野望は実現できるかなど興味深い内容満載の対談が展開されました。

≪動画インデックス≫
 1.意外にもギリシャは財政収支が黒字だが、GDPが下がり経済成長ができてない
 2.EUから脱退条文はあっても、ユーロから脱退規定は存在しない
 3.独はEU基本条約の非救済条項を頑なに守りギリシャに冷たい
 4.仏はイタリア、スペインなどに親近感がありギリシャを支援したい
 5.EU分裂の危機はどれほどリアル?
 6.ギリシャはユーロ圏に残り、支援で時間を稼ぎ、ドラクマ導入準備すべきだ
 7.中国、ロシアがギリシャ危機を虎視眈々と狙う
 8.李克強首相が「中国の統計は信用できない」
 9.貨物輸送量、消費者物価指数など李克強指数が下がり、中国はデフレに近い
10.日本バブルは明るい夢の時代だったが、中国バブルは暗い中で株価だけ上昇
11.中国の株取引の8割は個人投資家で、かつギャンブル的信用取引がほとんど
12.株価のPER(株価収益率)は日本バブルが70倍、中国はピークでたったの16倍
13.習近平政権の株管理は、上場株の売買停止と国営企業を通じて自社株買い
14.中国の野望は人民元を国際通貨にすることだ
15.一人っ子政策の中国は日本より早い段階で人口減少が進む
16.EU分裂、中国バブル崩壊、米国弱体化の時代は日本の出番だ!

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本田悦朗

本田悦朗
内閣官房参与

1955年、和歌山県生まれ。1978年東京大学法学部卒業後、(旧)大蔵省入省。四国財務局長等を経て、2011年より政策評価審議官。その間、外務省欧州局で審議官、また、モスクワ・ニューヨーク等の在外公館のほか、世界銀行(ワシントン)、欧州復興開発銀行(ロンドン)にて、計13年間の海外勤務を経験。2012年より本年3月末まで、静岡県立大学教授。 2012年12月、第二次安倍内閣発足と同時に内閣官房参与。本年4月より明治学院大学客員教授。我が国だけではなく、米国でもデフレの危険性があったニューヨーク勤務時代(2000年~2003年)、ニューヨーク連銀のエコノミストとデフレの議論を徹底的に行ったのが、アベノミクスについて総理に進言したきっかけとなった。

※ プロフィールは放送日2015.07.24時点の情報です

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