過去の放送

Vol.173 一般公開

人民解放軍が米国シンクタンクを操る

南シナ海局地戦でベトナムが中国に勝つ戦略

2016.02.12 67分

 南シナ海に中国が建設した人工島12カイリ内を米国の駆逐艦が「自由航行」するなど世界の目は南シナ海に注がれています。しかし、米国シンクタンクは、中国の「次の一手」は尖閣諸島を含む東シナ海だと警鐘を鳴らします。米国ハドソン研究所は「中国は世界の目を一つの地域に向けさせながら、他の地域で策略を進めるのを得意とする」と分析し、「東シナ海で起こり得るシナリオは、政治目的を達成するための短期決戦」と警告します。米軍に近いランド研究所も、外交誌フォーリンポリシーに尖閣を舞台にした軍事シミュレーションを公表し、「中国が5日で勝利する」と分析しました。
 対談の冒頭で、櫻井キャスターが「米国の報告では、中国が尖閣と取りに来たら日本は短期間で負ける」という報告を紹介すると、ワシントンで取材をしたばかりの太田文雄氏は「ランド研究所の学者と意見交換をした際に、軍事シュミュレーションはやっていないということだった。ハドソン報告もランドシュミュレーションも情報源は、人民解放軍にありそうだ」と語りました。太田氏はその理由のひとつとして、海上自衛隊の潜水艦能力や陸上自衛隊の奪還能力が過小評価されていることを指摘しました。さらに太田氏は中国によってシンクタンク報告が操られ、「米国に無人島=尖閣での戦争に巻き込まれない方が良いという考えの植え付けをする『世論戦』だ」と分析しました。
 石垣島など東シナ海を現地取材した山田吉彦教授は「1万2千トンクラスの海警2901に76ミリ砲と30ミリ砲がついている。これまでは表だって武器を装備しなかったが、昨年末から武器を付けたまま海域に侵入する」と中国の戦略が変化していると述べました。
 東シナ海では中国の謀略戦、漁民団の保護を名目にした大型巡視船での威圧行動、ガス田のヘリコプター基地化など軍事状況が一変しています。この対談では、東シナ海、南シナ海の軍事情勢の分析と中国の狙い、南シナ海局地戦でベトナムが中国に勝利する戦略、日米がすべきことは何かなど熱のこもった討論が繰り広げられました。

≪動画インデックス≫
 1.米国シンクタンク報告を人民解放軍が操る
 2.東シナ海軍事状況が一変した
 3.海上保安庁が巡視船12隻600人体制を石垣に配備
 4.76ミリ砲を装備した「海警2901」の実力
 5.海上保安庁と海上自衛隊は“緊密”ではない
 6.日本と中国の東シナ海軍事力比較
 7.ガス田プラットフォームを整備し中国本土基地から「日本監視」
 8.中国の大海洋進出計画 第3列島線とは何だ
 9.中国はサイバー攻撃で第5世代戦闘機の設計図を盗む
10.5戦区に分けた新しい人民軍が動き出した
11.日本周辺海域で中国が海洋調査をする狙いは何だ
12.宇宙戦略で米中どちらが優位なのか
13.南シナ海での局地戦ではベトナムは中国に勝つ自信
14.中国に対し日本がすべきことは何か

Edgeブラウザではスキップ機能を利用できない場合がございます。Chrome/Firefox/Safariブラウザではスキップが可能です。

プロバイダや使用場所によっては再生が途切れる場合がございます。動画が停止した場合、ブラウザの更新ボタンを押してください。

山田吉彦

山田吉彦
東海大学海洋学部教授

1962年生まれ。埼玉大学経済科学研究科博士課程修了。現在、東海大学海洋学部教授。専門は海洋政策、海洋安全保障、現代海賊問題、国境問題、離島問題 。著書に『驚いた!知らなかった日本国境の新事実』、『日本国境戦争』、『日本の海をめぐる攻防』、『海賊の掟』、『尖閣激突』(共著)、『解決! すぐわかる日本の国境問題』など多数。

太田文雄

太田文雄
元防衛庁情報本部長

1948年生まれ。1970年防衛大学校卒、ゆうぐも艦長、スタンフォード大学国際安全保障軍備管理研究所客員研究員、米国防総合大学卒、第1・64護衛隊司令、在米日本大使館国防武官、統合幕僚学校長を経て情報本部長、ジョンズ・ホプキンズ大学高等国際問題研究大学院博士課程修了国際関係論博士取得、2005年定年退官海将。防衛大学校教授、政策研究大学院大学安全保障・国際問題博士課程連携教授。現在、国家基本問題研究所企画委員。剣道教士七段。著書に『国際情勢と安全保障政策』、『中国の海洋戦略にどう対応すべきか』、『日本の存亡は「孫子」にあり』など多数。

※ プロフィールは放送日2016.02.12時点の情報です

言論テレビ 会員募集中!

生放送を見逃した方や、再度放送を見たい方など、続々登場する過去動画を何度でも繰り返しご覧になることができます。
詳しくはこちら
Instagramはじめました フォローはこちらから

アップデート情報など掲載言論News & 更新情報

週刊誌や月刊誌に執筆したコラムを掲載闘うコラム大全集

  • 異形の敵 中国

    異形の敵 中国

    2023年8月18日発売!

    1,870円(税込)

    ロシアを従え、グローバルサウスを懐柔し、アメリカの向こうを張って、日本への攻勢を強める独裁国家。狙いを定めたターゲットはありとあらゆる手段で籠絡、法の不備を突いて深く静かに侵略を進め、露見したら黒を白と言い張る謀略の実態と大きく揺らぐ中国共産党の足元を確かな取材で看破し、「不都合な真実」を剔抉する。

  • 安倍晋三が生きた日本史

    安倍晋三が生きた日本史

    2023年6月30日発売!

    990円(税込)

    「日本を取り戻す」と叫んだ人。古事記の神々や英雄、その想いを継いだ吉田松陰、橋本左内、横井小楠、井上毅、伊藤博文、山縣有朋をはじめとする無数の人々。日本史を背負い、日本を守ったリーダーたちと安倍総理の魂と意思を、渾身の筆で読み解く。

  • ハト派の嘘

    ハト派の噓

    2022年5月24日発売!

    968円(税込)

    核恫喝の最前線で9条、中立論、専守防衛、非核三原則に国家の命運を委ねる日本。侵略者を利する空論を白日の下にさらす。 【緊急出版】ウクライナ侵略、「戦後」が砕け散った「軍靴の音」はすでに隣国から聞こえている。力ずくの独裁国から日本を守るためには「内閣が一つ吹っ飛ぶ覚悟」の法整備が必要だ。言論テレビ人気シリーズ第7弾!