日銀による初めてのマイナス金利政策は、2日だけ狙い通り「円安株高」に動きましたが、そのあとは「円高株安」が進行し値動きの激しい相場になっています。新聞や週刊誌の見出しは「アベノミクスは風前の灯」「手法はいよいよ限界」「日銀の苦しまぎれの冒険」などの見出しが躍っています。対談の冒頭で、大和総研チーフエコノミストの熊谷亮丸氏はマイナス金利政策で期待される効果を二つに分け、実体経済効果(銀行が貸し出しを増やし、企業が設備投資を増やし、個人の所得が増える)とマーケット効果(金利が下がれば通貨が安くなり株価が上昇する)を説明しました。さらに熊谷氏は「マイナス金利と株が安くなったことは何の因果関係がなく、原油安など世界の金融市場が崩れたところにマイナス金利を入れただけに過ぎない」と指摘しました。
櫻井キャスターが「日本の経済を判断するのに株や為替などの数字から見るか、一夜では達成できない求人倍率や大学生就職率などの基準で見るべきか」と問うと、熊谷氏は「安倍政権が成立してから賃金も17年ぶりの伸び率で、経済は確実に回復に向かっている。しかし、日本の経済は良くも悪くも海外経済次第で中国のバブルが弾ける不安が少し影響している。アベノミクスはカンフル剤の要素が強く、長い目で見た中、長期の課題が残っているが、着実に成果を上げている」と分析しました。
≪動画インデックス≫
1.マイナス金利の経済への活力と負の影響
2.原油安はなぜ円高に誘導するのか
3.どの経済指標や動向をチェックすれば日本経済を判断できるか
4.アベノミクスのこれからの課題
5.日・米・独を徹底比較!なぜ、賃金が低迷しているのか
6.労働市場の2極化から見た日本の労働システムの問題点
7.一目で解る!日本の労働システム改革の全体像
8.人工知能が人間の脳を超える日が来るか
9.次の時代は哲学・歴史・宗教など人文科学を学んだ広い視野が必要だ
10.G20の重要課題は中国の「資本規制」が可能か
11.中国にはどの程度の財政出動余地が残っているか
12.これが伊勢志摩サミットをにらんだ5政策課題
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熊谷亮丸
大和総研チーフエコノミスト
1966年東京生まれ。1989年東京大学法学部卒業後、日本興業銀行に入行。1993年旧興銀より国内留学で東京大学大学院修士課程修了。メリルリンチ日本証券チーフ債券ストラテジストなどを経て、2007年大和総研シニアエコノミスト、2010年よりチーフエコノミスト。各種アナリストランキングで、エコノミスト、為替アナリストとして合計7回1位を獲得している。「ワールドビジネスサテライト」レギュラーコメンテーターとして活躍中。著書に『消費税が日本を救う』、『パッシング・チャイナ』など多数。
※ プロフィールは放送日2016.02.26時点の情報です