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Vol.29 一般公開

「“省益”は使うが、霞ヶ関では“国益”と言うと煙たがられる」
中国などの国土買収に政治家や官僚が不作為を続ける理由とは?

2013.05.10 54分

 日本の森や水資源が中国など外国資本に買い漁られています。これまで中国などの国土買収を追及してきた東京農大客員教授の平野秀樹氏は、「現在危ないのは北海道奥尻島、新潟県佐渡市、長崎県対馬と五島列島、鹿児島県沖永良部島、沖縄県石垣島など安全保障上重要な国境離島だ」と言います。櫻井キャスターは「離島も含めこれまで中国などが買い占めた土地の面積はどの程度ですか」と質問すると、平野氏は「日本政府が801ヘクタールと発表しているが、これは氷山の一角で、届け出も登記もせず、フロント企業や別の名義で届け出るなどしており実態は10~20倍になる」と答えました。

 また、平野氏は地籍調査が終わっているのは「全国で半分程度、東京では21%、大阪では8%」とびっくりするほど低い数字を明らかにしました。改めて「地籍調査をやると土地面積が増えてしまい、固定資産税が高くなるので実施したがらない」と公共の利益よりも個人の利益を優先してしまう実情も明らかにしました。櫻井キャスターは「外国では土地売買にどのように規制が行われているか」と説明を求めると、平野氏は「国土を全く売らないのは中国、 条件つきで売買が許されるのはインド、韓国、スイス、デンマークなど、売買は可能だが、買ったあとで厳しい規制をかけられるのがイギリス、ドイツ、フランス、アメリカなど先進国、なんの制限もなく売買が出来て、土地の使用についてもなんの制限もないのが日本」と説明しました。広い国際社会の中で外国人の不動産所得に全く制限がない先進国は日本だけという異常な実情を明らかにしました。

 櫻井キャスターは「なぜ日本だけ制限がないのか、政治家も官僚も無能だったのか」と平野氏に問います。平野氏は「“省益”は使うが、霞ヶ関では“国益”と言うと煙たがられる」「特段今困っていないとか、仕事が増えるとか、それは(霞ヶ関に)ひとつの価値としてずっと残っている」と官僚の不作為を禅問答のように答えました。土地売買規制問題を霞が関の中で30年以上も追及してきた平野氏は、国益を損ねないために急いで取り組まなければならない「グローバル対応の土地制度」を提案しました。この提案の中で1. 国家安全保障土地法(日本版CFIUS)2. 所有者不明土地総合対策を明らかにしました。活発な櫻井キャスターの斬り込みインタビューと共に動画でご覧いただきたいと思います。
 
≪動画インデックス≫
 1.中国などの国土買収で脅かされる日本の重要地点
 2.佐世保基地に近い長崎県高島も買われようとしている
 3.福島原発の近くの土地買収の目的とは
 4.中央政府が取り組まないために地方自治体が条例で土地売買規制
 5.“省益”は語るが“国益”を語らない霞ヶ関官僚
 6.世界各国の土地売買規制
 7.アジア太平洋14ヶ国で外国人の不動産所有に規制がないのは日本だけ
 8.WTO(世界貿易機関)参加国だから規制のない日本と参加国なのに
   土地取得不可の中国
 9.面積も持主も不明の土地が全国で5割=日本の土地は5割の価値しかない
10.こうすれば国益を守れる!グローバル対応の土地制度とは

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平野 秀樹

平野 秀樹
東京農大客員教授

1954年生まれ。1977年九州大学卒。国土庁防災企画官、環境省環境影響評価課長、林野庁経営企画課長などを経て、現在は東京農大客員教授で、東京財団上席研究員も務める。著書に『日本買います』、『奪われる日本の森』、『森林理想郷を求めて』など多数。

※ プロフィールは放送日2013.05.10時点の情報です

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