過去の放送

Vol.52 一般公開

「プラモデルのように、簡単に作れるロケットを考えたい」
コンセプトから変える積み重ねが完全再使用ロケットへと繋がる

2013.10.18 62分

 9月14日午後2時、日本の宇宙開発の夢をのせた新型ロケット「イプシロン」初号機が、鹿児島県内之浦の宇宙空間観測所で打ち上げられました。このイプシロンを手塩にかけて育てた宇宙航空研究開発機構(JAXA)の森田泰弘プロジェクトマネージャー(PM)が書斎ゲストです。今回の対談の狙いは、安価で簡便な打ち上げを可能にしたイプシロンは何をどのように変革して実現できたのか、今後のイプシロン開発の目標はなにか、国際衛星ビジネス市場ではロシアや米国などに後れを取っているが、イプシロンを利用したどのようなセールス戦略で打って出るつもりか、そして森田少年が宇宙に抱いた夢はなにか、何がきっかけで宇宙に挑むようになったのかなどをお聞きすることです。

 櫻井キャスターが「どのようにして打ち上げ費用をこれまでの半分に下げることができたか」と訊ねると、森田PMは「イプシロンは打ち上げる仕組みを短期間、少人数、コンパクトな設備でロケットが打ち上げられるようにする、つまり打ち上げのコンセプトをガラッと変え、同時にコストを下げました」と答えました。さらに「イプシロンを最初の一歩として、我々はもっともっとロケットを打ち上げる仕組みをシンプルにしていきます」と目標を語りました。櫻井キャスターに宇宙に目を向けるようになったきっかけを問われた森田さんは「イプシロンは鉄腕アトムのような知能を持ったロボットです。ボタンひとつに近いシステムで飛ぶイプシロンは、SFに憧れた小さい頃の夢が実現していると密かに思っています」と“森田少年”になり切り、目を輝かせて答えたのが印象的でした。

≪動画インデックス≫
1.イプシロン打ち上げ成功映像と成功を喜ぶ森田PM
2.内之浦実験場が「聖地」と呼ばれる理由
3.イプシロンCGを森田PMが生解説
4.惑星分光観測衛星の役割と「ひさき」の意味とは
5.「イプシロンε」の意味とは
6.「安く作るだけなら誰でもできる、コンセプトを変えて同時にコストも下げた」
7.目標は第1弾ロケットを発射台に立て、打って、片づけるまで1週間!
8.イプシロン+衛星をセットにして提供する新しい戦略とは
10.宇宙は「冒険」から、我々が「利用」する時代に変わる
11.シャトルは本当の再使用ではない、飛行機みたいな再使用ロケットを目指す
12.イプシロンは森田PMの鉄腕アトムだった
13.イプシロンは平和利用だけ、開発した技術だって世界に広めても良いと思う

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森田 泰弘

森田 泰弘
宇宙航空研究開発機構(JAXA) イプシロン・プロジェクトマネージャー

1958年東京都生まれ。82年東京大学工学部航空学科卒業、87年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了、工学博士。88年から2年間、カナダ・ブリテッシュ・コロンビア大学客員研究員として宇宙ステーション用ロボットアームの研究に従事した。90年旧文部省宇宙科学研究所(現JAXA)システム研究系助手、M-Vロケット開発(主にシステム設計、誘導制御系)を主導する。2003年7月から宇宙科学研究所教授、10月からM-Vロケットプロジェクトマネージャー(開発責任者)を兼務し、JAXA統合後の同ロケットの打ち上げを指揮した。イプシロンロケットプロジェクトマネージャーとして我が国の固体ロケット開発をリードするとともに、飛翔工学研究系教授として研究教育に従事する。専門はシステムと制御。

※ プロフィールは放送日2013.10.18時点の情報です

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