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Vol.56 一般公開

「官僚裁判官は個別案件を見るのでなく、人の命を“相場”にする」
“民意の判決”なぜ覆す?裁判員裁判の死刑を2審で破棄

2013.11.15 65分

 東京高裁は2013年6月と10月に、1審の裁判員裁判が言い渡した死刑判決を破棄し、無期懲役に減刑する判決を言い渡しました。遺族は「民意を取り入れて変わったはずの司法が、なぜ市民も加わった判断を否定するのか」と深く失望しています。市民の日常感覚や常識を取り入れた裁判員裁判が、先例と異なる判断をするのは当然です。裁判員裁判の判決を「前科を重視しすぎ」「前科の殺人と今回の強盗殺人には類似性がみられない」とし、過去の判例を重視して死刑を破棄し、無期懲役を言い渡したのは同じ裁判長です。最高裁の司法研修所は昨年、死刑判断は先例を尊重すべきであると裁判員裁判の厳罰化傾向に懸念を示しています。ではいったい裁判員裁判とは何か。なぜ必要なのか。職業裁判官の判断に問題はないのか。司法の公正とは何か。こうした問題を追及すべく光市母子殺害事件を9年間にわたり追い続け、『なぜ君は絶望と闘えたのか』を世に問うたノンフィクション作家、門田隆将氏と議論するのが今回の企画の狙いです。門田氏は新潮社時代には櫻井キャスターの担当デスクを務めていました。                                                                        
 対談の冒頭で櫻井キャスターが、裁判員裁判の判決が東京高裁で覆された南青山強盗殺人事件と千葉大女子学生強盗殺人事件の概要を説明しました。門田氏はまず「問題のある変更だと思う」と述べ、「官僚裁判官がずっと持っていた悪弊で、個別の事案を見るのではなく相場に当て嵌める。それが国民の一般の感覚や常識からも外れてきている。裁判は一つ一つの事案がそれぞれ別個だから、そこに相場を当て嵌めるのはおかしい」と指摘しました。対談では国民が納得する司法を求め厳しく、鋭い指摘が相次ぎました。対談の最後に櫻井キャスターは「裁判員裁判の普通の国民代表の方々は、人間としてこれは危ないという意味で判決を出している。職業裁判官は全員ではないが、かなり機械的に、相場感覚で見ている。そこはやはり正していかなければいけない」と対談を締めくくりました。

≪動画インデックス≫
1.裁判員裁判の判決を職業裁判官が2審でひっくり返す!
2.裁判で個別の事案を見るのではなく、人の命を相場にしてしまうか?
3.裁判員裁判に対する最高裁の抵抗 その1 市民参加そのものを阻止
4.裁判員裁判に対する最高裁の抵抗 その2 有名無実を図る
5.裁判員裁判に対する最高裁の抵抗 その3 あきらめ
8.法廷で裁判官がニコニコし、モニターまでが現れた!
7.故小渕首相が書いた光市母子殺害事件の本村さんへの手紙
8.「要件事実教育」が国民の常識とかけ離れた判決を出す
9.弁護士、検察、裁判官と全部経験して、裁判官が選ばれる制度を作れ!
10.国民が判決を監視し、官僚裁判官に「それで良いのか」と疑問を突きつける 

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門田 隆将

門田 隆将
ノンフィクション作家

1958年、高知県生まれ。中央大学法学部卒業後、新潮社に入社。週刊新潮編集部に配属され、記者、デスク、次長、副部長を経て、2008年に独立。政治、経済、歴史、司法、事件、スポーツなどの幅広いジャンルで執筆している。2010年『この命、義に捧ぐ―台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡』(集英社)で第19回山本七平賞を受賞。主な著書に、司法の矛盾を暴いた『裁判官が日本を滅ぼす』『なぜ君は絶望と闘えたのか』(新潮社)ほか、『甲子園への遺言 伝説の打撃コーチ高畠導宏の生涯』(講談社)、『康子十九歳 戦渦の日記』(文藝春秋)、『太平洋戦争 最後の証言』(小学館)などがある。現在ベストセラーの『死の淵を見た男―吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日』(PHP)に続いて、公安捜査官の実名証言を基にした最新刊『狼の牙を折れ―史上最大の爆破テロに挑んだ警視庁公安部』(小学館)が話題に。

※ プロフィールは放送日2013.11.15時点の情報です

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